その他
MJS、ネットスイートに資本参加のワケ
2006/12/11 14:53
週刊BCN 2006年12月11日vol.1166掲載
SaaSの“陣取り合戦”始まっている
「共同開発製品を投入してから2─3年で、損益分岐点を迎える」──オンデマンド型ソフトウェア提供サービス「SaaS」を提供する米ネットスイート、同日本法人(東貴彦社長)と業務提携したミロク情報サービス(MJS、是枝周樹社長)の吉岡賢司・執行役員は、今回の提携を将来の収入源へ向けた先行投資であるとして、こう力説した。MJSは、2011年度(12年3月期)に「SaaS事業」で、現連結売上高の3分の1に当たる60億円を年間で売り上げる計画。この件に賭ける期待は生半可ではなさそうだ。
MJSは米ネットスイートと開発提携を結び、同社ERPを日本市場で展開するために会計・税務機能を共同開発する。事実上、国内の「一次販売代理店」の権利をもったことになり、これを活用して中小企業に顧客基盤をもつSIerなどのパートナー獲得を目指す。ネットスイート日本法人とは、MJSが同社発行済み株式5%を取得、国産会計ソフト独特の「締め処理機能」などの移植やローカライズ(製品の日本語化)など、「MJSが受託開発を担う」(吉岡執行役員)という。
ネットスイートのCRM(顧客情報管理)日本語版は、すでに日本市場へ投入済み。MJSはこの販売に加え、08年4月をめどに米ネットスイートなどと共同開発したSaaS型のERP製品をリリースする予定だ。当面は、このERP製品の開発に力を注ぐ。一方で、全ネットスイート製品の「二次販売代理店」を開拓する。吉岡執行役員は「従来の当社チャネルと異なる、大手SIベンダー系の販社を想定している」と、来年3月までに大手2社を含めた計3社とSaaS製品で代理店契約を結ぶ見通しだ。
MJSは、オフコン全盛の70年代に会計事務所専用機で、TKCなどと並び、会計・税務分野で勢力を伸ばした。しかし、オープン化の波に押され、会計事務所専用機から業務パッケージへと業態をシフトし、最近では「ソリューションベンダー」という〝肩書き〟を前面に打ち出し、「第二の創業」と、事業の立て直しに躍起だ。
ただ、会計事務所向けシステム「ACELINKシリーズ」はともかく、会計事務所の顧問先企業向けの財務・給与人事・販売システム「MJSLINKシリーズ」は、国産ERPベンダーなど競合が激しく、苦戦が続く。そこで「今後、成長が予想されるSaaS市場に向け、早い段階で自社に技術・販売の両面でノウハウを蓄積する必要がある」(吉岡執行役員)と、今回の提携に走ったようだ。このノウハウを活用し、将来的にはMJS製品などをSaaS型に変える計画である。
一方、今回の提携には、経営戦略的に別な側面もあるようだ。米ネットスイートは、米オラクルのラリー・エリソン会長などが出資して設立。同社や米オラクルは最近、米国内外の会計ソフトベンダーに狙いを定め、M&Aを積極化するとの噂がある。MJSは、他の国産会計ソフトベンダーが買収されれば、SaaS市場で不利な立場に追いやられるため、有利な立場を崩さないよう先行して「防衛的な資本提携」を仕掛けたようだ(12月4日号「視点」で既報)。国内でも、「SaaS市場」の〝陣取り合戦〟が、すでに始まっているといえそうだ。
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…