その他
ヴィッツなど産官学 自動車向け「機能安全」ソフト開発 3年後にオープンソースで公開へ
2006/12/18 14:53
週刊BCN 2006年12月18日vol.1167掲載
名古屋市の組み込みソフトウェア会社のヴィッツ(安場尚一社長)や名古屋大学、中部地区のITベンダーらは、「機能安全」対応の自動車制御向けソフトの開発プロジェクトを開始する。欧州主導で策定された「機能安全」の規格「IEC61508」が、自動車産業などで世界的に必須になると判断。自動車メーカーが競って開発すると多額の費用を必要とするため、経済産業省の補助金を受け、産官学で取り組む。開発したプラットフォームは、NPO法人の「TOPPERSプロジュエクト」などを通じ、オープンソースとして3年後に公開する。
プロジェクトは、ヴィッツと名古屋大学大学院情報科学研究科附属組込みシステム研究センターが中心になり、中部地区に本社を置く東海ソフト、サニー技研が組み込み技術を持ち寄る。このほか、公設機関の産業技術総合研究所などでコンソーシアムを組織。トヨタ自動車やアイシン精機などがアドバイザーとして協力する。経産省の「平成18年度戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択されている。
今回のプロジェクトは、次期自動車制御システム開発で必要になる「機能安全」に対応したプラットフォームを開発し、「標準化」を目指す。
具体的には、「機能安全」に対応した安全機能OS(OSに安全対策を施し、動作安全に対応)や、車載LANの「CAN/LIN/Flex Ray」といった次世代通信ミドルウェア、次世代例示アプリケーションに加え、これらを搭載したサンプル車両を開発する。
安全機能OSとは、OS上で動作するアプリケーションの状況を管理・確認したり、OS自身が正しく動作しているかを動的に確認する機能。安全機能は、アプリケーション機能として現在の自動車などに搭載しているが、製品ごとに管理方法や安全性の期待値が異なる。同プロジェクトの副総括研究代表者であるヴィッツの服部博行・開発第3部部長は「現状ではシステム全体の安全性を保障するのに、多大な労力を必要とする。開発コストを低減し、自動車業界などが国際競争力を維持するうえで、国内の専門家が協力して解決する」と、オープンソースで「標準化」することで、中小企業が多い組み込みソフトベンダーにも共通利用でき、業界全体に貢献できるという。
「機能安全」に関しては、経産省が「組込みソフトウェア開発力強化推進委員会・機能安全部会」を立ち上げ、組み込みの品質を高める目的で、開発プロセスや組み込みスキル標準(ITSS)を参考にした人材育成・配置などの「標準」を策定するなど、産官学の動きが活発化している。欧州などでは、「IEC61508」に準拠した組み込みソフトを未搭載の製品が「非関税障壁」になる可能性が高く、「機能安全」に関する取り組みが急務になっている。
また、「機能安全」の組み込みソフト開発で先行する欧州から対応ソフトを購入すると、国内組み込みソフト産業の停滞を招く恐れがある。同プロジェクトの試算によると、「機能安全」対応のOS市場は、世界で約800億円に達する。
プロジェクトで開発したソフトや各種ドキュメントなどは、オープンソースとして「TOPPERSプロジェクト」から公開するほか、国内自動車メーカーを中心に設立した組み込みソフトの協調開発組織「JasPar」に対し、標準的なソフトとして提案することも計画している。
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