組み込みソフト開発を得意とするコア（井手祥司社長）は、開発拠点を拡充する。全国約20か所ある開発拠点のうち、複数か所の開発能力を重点的に拡充し、より高度な開発を専門的に行える人材を揃える。これまでは開発拠点が分散する傾向があり人材や技術の蓄積が進みにくい課題があった。中核的な開発拠点を整備・拡充することで技術集積を進め収益力向上につなげる。

　組み込みソフトは携帯電話やカーナビなどハードウェアメーカーとの密接な連携が欠かせない。このため、コアは全国約20か所の開発拠点を設けて顧客企業に密着した開発体制を築いてきた。

　しかし高機能化が急ピッチで進む組み込みソフトで継続的に競争力を高めていくには拠点単独のリソースでは限度があると判断。3か年中期経営計画の最終年度に当たる来年度（2008年3月期）末までをめどに中核的な役割を担う開発拠点を複数整備する。

　具体的には山口県の開発拠点、中国・北京、上海のグループ会社、札幌の開発拠点などを重点的に拡充することを検討する。山口県には約2万平方メートルの広大な事業用地を持ち、北京・上海のグループ会社とも比較的距離が近いことから有力候補にあげる。現在、北京は約150人、上海は約50人体制で開発を行っており、山口県の拠点も将来的には100人規模に拡大することで開発機能を強化する。北海道でのソフトウェア産業の集積が進んでいることから札幌拠点の拡充も検討する。最終的には7－8か所の開発拠点を重点的に拡充する。

　ソフトウェアの開発分野による専門特化も進める。組み込みソフトならば製品ジャンルやミドルウェアなどの形態によって専門的な知識を持つエンジニアを揃える。たとえばカーナビのミドルウェアは山口県の開発拠点に集約するなどそれぞれの拠点に割り当てる仕事を特定にしていくことで開発効率を高め、品質向上にもつなげる。「重点開発拠点が、ある程度特化した開発を行えば生産性や品質が高まる」（井手社長）と見込む。

　また開発能力の向上に見合うだけの高度な組み込みソフトの開発案件の受注にも力を入れる。同社は組み込みソフトなどでもドライバなどハードウェアに近いミドルウェアの開発を得意とする。今年度から来年度にかけて中核的な開発拠点の整備を進めることで、こうした強みをより伸ばす。今年度（07年3月期）の組み込みソフト開発事業の営業利益率は約9％の見通しだが、生産性の向上や高付加価値化を進めることで次期経営計画では同12－13％に高めることを目指す。