NTTコムウェア（今井郁次社長）が日本百貨店協会と連携し、ICタグを商品製造工程で貼付する「ソースタギング」の実証実験を実施した。婦人靴を対象に、メーカーから卸売、店頭までのサプライチェーン効率化を検証。業務効率の点では大きな効果が認められたが、タグが小さいために生じる読み取りにくさやコストなどの面で若干の課題も残った。

　実験は、経済産業省主導の「平成18年度電子タグ実証実験」の一環で、サプライチェーンの効率化を目的として行われた。百貨店として、小田急と京王、島屋、東急、三越、阪急、井筒屋の7社19店舗が参加している。

　検証の内容は、靴箱にある既存のバーコードシールにICタグを埋め込み、検品作業の削減や伝票作成を自動化するというもの。バーコードシールは、値札に貼付できる。店内では、来店者が商品ごとにカラーやサイズなどの在庫を調べることができる検索システムも設置した。また、ソースタギングの利点であるメーカーから小売りまで販売数や在庫の情報が共有できる共同利用型システムを百貨店各社が導入した。

　これまでの実験では、タグの回収で何度も再利用できるプラスチック筐体の「リユースタグ」を活用していた。今回の実験は、製造過程からICタグを取り付けることを想定し、バーコードシールを採用した。島田智子・エンタープライズ・ソリューション事業本部RFID推進室担当課長は、「ICタグを箱に貼付する際に紐付けで固定しなければならないことから手間がかかっていた。バーコードシールの場合は、貼り付けるだけで済むため、大幅な作業軽減が図れる」としている。

　しかし、課題も残る。商品が店頭に並ぶ際には値札にICタグを貼付することが前提である。そのため、バーコードシールのICタグは「リユースタグ」と比べ2分の1程度に縮小した。島田課長は、「サイズが小さくなったことから、若干の読み取りにくさがあることが分かった」という。しかも、ICタグを回収しないため、コストが膨らむというデメリットもありそうだ。

　NTTコムウェアでは、「実証実験の結果を精査し、できるだけ早い段階で課題を払拭する」としている。商用化については、「2年後には、きちんとRFIDソリューションを提供できるようにしたい」考えだ。