JFEシステムズ（岩橋誠社長）は中堅食品メーカー市場の開拓を本格化させる。主力の食品業向け品質情報管理システム「メルクリウス」の中堅向け新バージョンを来年度（2008年3月期）の早いタイミングで投入する。メルクリウスは大手食品メーカー向けに販売数を増やしてきた有力商材。今回の新バージョンではこれまで手つかずだった中堅食品業をターゲットとすることで販売増を目指す。

　食品メーカーは国内に約3万社あるといわれ、今回の中堅向け新バージョンは年商50－300億円をメインのターゲットに位置づける。製品名称はこれから決める。

　メルクリウスは、グループ会社の製鉄メーカー向け情報システム構築で培ったプロセス管理技術を食品業向けに応用したオリジナルパッケージとして、03年に製品化した。

　折しも乳製品や洋菓子メーカーの品質管理問題が表面化したこともあり、大手食品メーカーを中心に引き合いが急増。これまで約50社に納入した実績をもち、大手食品メーカー向けの品質管理パッケージソフトとしてはトップクラスのシェアを誇る。しかし業務プロセスの改革やこれに伴うカスタマイズが発生するため中堅以下には「納入が難しい」（菱山尚史・営業本部プロセス営業部長）課題があった。

　今回の中堅向け新バージョンでは、標準機能でカバーできる部分を増やすなどしてカスタマイズ部分を極力減らす。最小構成で300万円からに設定するなど価格も抑えた。年商50－300億円の中堅食品メーカーは全国に約3000社あるとみられ、今後新たに販売網を整備するなどして2－3年後には500社への納入を目指す。年商50億円以下の中小食品メーカーに向けてはオンデマンド方式で提供することも検討している。

　今年度のメルクリウス関連事業の売上高は約6億円の見込みだが、中堅中小向けの商材を拡充していくことで2年後の08年度には15億円程度への拡大を見込む。

　食品流通を巡っては、食品メーカーと小売りの間で加工食品の原材料などを記した食品カルテを共有する動きがある。昨年10月には生活協同組合コープさっぽろ（札幌市）と「電子食品カルテシステム」の開発に合意。メルクリウスを電子食品カルテと連携して使えるようにする。将来的には加工食品の「SCM（サプライチェーン管理）全体をカバーする情報システムに発展させる」ことも視野に入れるなど事業拡大に向けた取り組みを加速させる。