アイ・オー・データ機器（細野昭雄社長）は、ストレージ事業で利益拡大を図る。HDDをメディアとして使える「Relational HD（RHD）」の製品ラインアップを揃えたほか、NASでユーザーニーズ対応のソフトを搭載したアプライアンスの発売を検討するなど付加価値を追求。主力のストレージ事業の拡充で、赤字が続く業績の回復を図っていく。

　ストレージ事業は、売上構成比が35％と同社のなかで主力ビジネスに位置づけられる。細野社長は、「販売のボリュームがあるリーズナブルな既存の外付けHDDに加え、高利益率の製品を発売することが利益を増やすことにつながる」と、昨年夏から「RHD」対応製品を市場に投入。昨年末までに、外付けHDDとして活用できるスタンダードモデルをはじめ、ミラーリングが可能なモデル、4台のHDDが搭載できる最上位モデルとラインアップを増やした。最上モデルに関しては、家庭内にNASを浸透させることを狙いとして、販促活動の強化も打ち出している。

　「RHD」は、SATAハードディスクを利用した独自のカートリッジ規格。3.5インチHDDがローコストであることに着目し、HDD自体をメディアとして利用できるように製品化した。細野社長は、「ユーザーが所有するデータ容量は、個人や法人を問わずに増えている状況。HDD搭載のDVDレコーダメディアとして利用することが主流になるのではないか」とみている。

　同規格に対応した製品は、パソコンのデータを保管できるほか、東芝製の薄型テレビ「REGZA」との接続でテレビ番組の録画も可能となる。個人ユーザーに販売していることに加え、SOHOや企業内の組織など法人もユーザーとして開拓。今年に入ってからマイクロソフトが新しいWindows OS「Vista」を発売したため、「（旧OSの）XP環境を残したいユーザーがRHDにデータを保管できることを提案する」としている。

　ユーザーのすそ野を広げるため、法人向け事業の拡大にも着手。NASでアプリケーションソフトを搭載したアプライアンス製品の発売を模索。複数のアプリベンダーに話を持ちかけており、近く製品化を実現しそうだ。「単なるNASを提供するだけでなく、ニーズに適したソフトを搭載したほうが、ユーザー企業にとっても簡単に導入できるためメリットが大きい」とアピールしている。

　同社は、今年度（07年6月期）中間期の連結業績が売上高で297億7100万円（前年同期比14.4％減）と減収、営業損失4億300万円（前年同期は9億7500万円）、経常損失3億6500万円（8億9300万円）、最終損失9億8800万円（10億1600万円）と改善したものの、赤字が続く。増設メモリの販売が厳しかったことが大きく影響。一方、ストレージ部門のHDDの販売に関しては「成長率が15％増」で推移しているという。販売が好調な製品で利益を一段と増やすことが業績回復につながると判断。そのため、「他社との差別化が図れるような付加価値の高い製品を追求した」としている。