その他
三井物産、情報・通信事業を強化
2007/03/12 21:10
週刊BCN 2007年03月12日vol.1178掲載
日本ユニシスがネットマークスをTOB
グループ再編の可能性あり
三井物産グループが情報・通信関連の強化を進めている。このほど日本ユニシスがネットマークスのTOB(株式公開買い付け)を発表した。三井物産の子会社であるネクストコムと三井情報開発が今年4月1日付で合併、「三井情報」として再スタートを切る。日本ユニシスの子会社であるユニアデックスを含め、事業重複のベンダーが多いことは否めないため、抜本的な再編が実施されるのではないかとみられる。現時点では、TOBを完了していないことから、今後の展望について三井物産グループからのコメントの発表はないが、想定される狙いについていくつかの観点から検証してみた。(佐相彰彦●取材/文)
■企業規模の拡大に向けグループ会社を統合
三井物産は、グループ会社を統合し、企業規模の拡大を図る可能性が高い。対象となるのは日本ユニシスの子会社であるユニアデックスとネットマークス、三井物産子会社であるネクストコムと三井情報開発の合併で誕生する三井情報の3社の統合が考えられる。統合による売上高は、単純合算で2000億円以上となり、規模の面で競争力を持つことになる。
ここで主導権を握る企業はユニアデックスだろう。というのも、同社はコンピュータシステムとネットワークシステムの構築から運用、保守までを一貫して提供できるノウハウを持っているからだ。これにネットマークスと、三井情報のネクストコム側の機能であるスイッチなどネットワーク機器メーカーからの購買力、三井情報の三井情報開発が手がけるソフト開発力を加えれば、SIerとNIerを融合させたベンダーとして生まれ変わることになる。とくに、製品購買を一括すれば仕入コストを抑えることも可能となる。
昨年は、大手SIer同士の合併が相次いだ。これは、競争が激しいSI業界での圧倒的な競争力をつけるためだ。例をあげれば、現伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、SIが主力の旧伊藤忠テクノサイエンスとデータセンター事業を手がける旧CRCソリューションズが合併したことで、システム構築からオンデマンドによるトータルサービス体系を提供できるようになった。三井物産グループが競争力を一段とつけていくためには、統合という選択肢が十分に考えられる。しかも、統合により相乗効果を発揮できることや、グループ間で重複している事業の集約による主力事業の「選択と集中」にもつながる。
■各社に得意事業を持たせる、グループ連携強化で成長
各グループ会社に得意事業を持たせることでグループ連携の強化を実施する可能性がある。
ユニアデックス、ネットマークス、三井情報が共通して持っているのは製品の仕入機能。製品の一括購入によって仕入コストの削減を図るのであれば、3社のうち1社にディストリビューション機能を集中させることが考えられる。ディストリビュータとして事業特化する可能性が高いのは、新しく日本ユニシスの傘下に入るネットマークスだろう。ユニアデックスと三井情報の2社と比べれば、インテグレーション事業が見劣りする点はあるものの、主要ネットワーク機器メーカーの製品を扱っているという点で“製品の目利き”に優れているためだ。
また、SIとNIの両機能で共通しているのはユニアデックスと三井情報のなかの三井情報開発。1社に統合すれば、両社のノウハウを生かすことにつながる。コンピュータとネットワークの両システムで構築から運用、保守までを一貫して行えるのはユニアデックスであるため、同社にSI機能を集約するのも1つの手といえる。
ネットマークスと三井情報のなかのネクストコムで共通しているのはアプリケーションをベースとしたサービスの提供。日本オラクルとアイデンティティ管理で協業したネットマークスの機能、RFIDに関するシステム・サービスを持つネクストコムの機能を統合すれば、他社に負けない製品・サービスの提供が可能になろう。
■あくまで事業を現状維持 グループ間競合の可能性も
個別案件によるアライアンスはあるものの、各グループ会社が現状のまま事業を進める方向性もある。“他社に負けない差別化を図れなければ生き残れない”という方針で、各グループ会社が業績を伸ばすための競争力を持つようになるという点では良い方法かもしれない。しかし、各社の機能が重複しているためグループ間で競合、激しい競争の末に淘汰の方向に進むグループ会社が出てくる可能性は高い。
日本ユニシスをはじめとしてグループ会社の関係者によれば、TOBが3月5日から4月12日までの期間で実施されることもあり「現時点では発表以外のことは決定していない」とのこと。そこで、今後の行方について推論ではあるがあげてみた。ただ、推論としていえるのは、現状維持を確保するのであれば、ネクストコムと三井情報の合併、ネットマークスを傘下に入れた効果が見出せないと思える。ネットマークスが日本ユニシスのTOBに合意したのは、国内ネットワーク機器市場が一段と厳しい状況に陥っていることの現れだ。しかし、一方で日本ユニシスの子会社として“保護”を受けるだけでは何も変わらないだろう。
抜本的な見直しは、ハイリスクの危険性があるが、大きなリターンを発生する可能性もある。グループ会社それぞれの持ち味を生かすための再編が三井物産グループの情報・通信関連事業が一段と飛躍することにつながるはずだ。
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