その他
若者にソフトウェア技術者への夢を
2007/04/16 14:53
週刊BCN 2007年04月16日vol.1183掲載
求められる産業界からの支援
「週刊BCN」では、日本のソフトウェア産業の次代を担う若者たちの活躍ぶりを「ITジュニアの群像」と題する連載で紹介している。その取材を通じて見えてくるのは、若者たち、とりわけ工業高校生たちのひたむきさと、一方で、それに報いているとは言い難い、彼らをとりまく環境である。
いま、工業高校は、高校生プログラミングコンテストや、高校生ものづくりコンテストへの挑戦に意欲的だ。教師が勧めるのではなく、生徒たち自身が自発的にコンテスト出場を希望しているケースが多いことに驚かされる。10代の若きエンジニアの卵たちは、ソフトウェア技術者への道に強い憧れを抱いているのだ。
しかし、彼らを迎え入れる産業界の門戸は相当に狭い。「知識と経験が豊富な即戦力の人材ばかりが求められ、若者を採用して育てようという企業は極めて少ない」と、愛知県立岡崎工業高校の市川繁富校長は嘆く。
また、地域の産業構造も生徒たちの進路に大きな影響を与えている。自動車産業が盛んな愛知県では、板金や塗装など機械工作系で若い労働力が求められるが、一方で電気・ソフト系の求人は非常に限られている。地元産業の地盤沈下から脱し切れていない北海道では、「ソフト技術者を目指すなら、専門学校や大学へ進学するしかないと考える生徒が多い」と語ってくれたのは、北海道帯広工業高校の青木一明校長。地方都市の若者たちにとって、ソフト技術者への道はかなり険しい。
教育の面からも、生徒たちには障害が多い。まず、学校予算の制限がある。10万円を超える備品購入には教育委員会の許可を必要とする自治体が多く、パソコン購入の大きなハードルとなっている。また、教育委員会によっては、盗難のおそれがあるとしてノートパソコンの購入を禁じているところもある。プログラミングコンテストへの出場に際して、数年前の重たいデスクトップパソコンをわざわざ持ち込まなければならない高校が、いまだに数多く存在するのだ。
さらに、現場の教育は、教師個人の熱意と知識に大きく依存しているのが実情だ。愛知県立名南工業高校の大島嘉一先生はネットワークの知識に長けていて、2年生の生徒から、Java、LAN、サーバー、セキュリティといったオープンネットワークの基礎技術を学ばせている。しかし、これは極めて特異な例といわざるを得ない。多くの工業高校で教えられているのは、組み込み型のC言語が中心であって、ネットワークについて学ぶ機会はまれだ。
近年、ソフト産業の国際勢力図をみると、インドや中国の台頭が著しい。日本の存在感は、残念ながら確実に薄れつつある。日本のソフト産業にとって、ひいては将来にわたる日本の経済成長にとって、次代を担う人材の育成は急務であり、責務であるはずだ。
「ソフト技術者になりたい」と憧れる若い芽を枯らさないためにも、産業界からのさらなる支援を期待したい。そして、教育行政と緊密に連携して、工業高校はもちろん、中学生や小学生のレベルから、ソフトやプログラミングに親しめる環境づくりを進めていかなければならない。
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