CGMマーケティングの可能性は？

　「日本ではCGM（消費者生成メディア）マーケティングは黎明期」と、バズマーケティングの瀧口和宏社長は語る。ブロガーによる口コミ宣伝はまだ発展途上にあるという見方だ。

　「ブロガーはアフィリエイトより、自分のブログの効果を知りたがっている」ことから、同社では、そうしたブロガーのニーズを汲み取って、そのブログがどの程度影響力があるかをランク付けし、さらに独自エンジンでブログ本文の解析を行うことで、映画、音楽など、そのブロガーが主に何に興味を持っているかを円グラフで可視化できるサービスを展開している。

　そこで作成されたプロフィールに基づき、広告主側が自分たちの製品にマッチするブログに、広告出稿のオファーを出す。ブロガーから広告出稿を承認されれば、ブログに広告が出稿できる。また、リアルのイベントへの招待や、製品のサンプルを配布することで、ブログから情報発信してもらえる機会も増える。

海外では一方向の宣伝広告からインタラクティブ（双方向）へと移りゆくなかで、PR（パブリックリレーション）よりもBR（ブロガーリレーション）が注目され、また、新たなマーケティング手段として重要視されてきている。こうしたなか、日本は「まだ始まったばかりで、今後伸長してくる」と、瀧口社長はみている。

　米国では、一つの物事に対して掘り下げて、自らの意見を表明しているブログが多い一方で、日本のブロガーは基本的にブログを書く目的は主に『日記』だという。「日本はまさしく玉石混交で、有名人が書く「スターブログ」などに読者が集中するような傾向がある」と瀧口社長は指摘する。

　「日記」が多い状況下では、情報を発信することで大きな影響を及ぼす「インフルエンサー」となりうるブロガーは埋もれてしまいやすい。同社ではこの「インフルエンサー」を抽出し、情報提供していくことが効果的と考えている。

　ただ、日本でも需要はあるとみているものの、米国の手法をそのまま取り入れても流行らない可能性があるため、日本流の「カスタマイズが必要だ」ということだ。

　瀧口社長は、ウェブ上で展開される口コミは決して「ウェブに始まり、ウェブに終わるものではない」とみる。ウェブだけで完結できるものではなく、リアルでの口コミの種としてもつながっていく。ウェブの長所は「24時間休まず継続されるところ」。誰かが書いたブログを、別の誰かが良いと感じれば、そこでつながりが生まれる。「例えば、ブログで書き込みが多かったものをマスコミが取り上げて人気になることもある」。

　それだけではなく、「誰かが深夜時間帯に放送されたテレビの通販番組で軍隊式エクササイズDVD『ビリーズブートキャンプ』を見つけて、それがウェブで話題になるなど、『リアル』との関係は非常に深い」という実態がある。　

　CGMが発達してきているなかで、消費者の声が企業に及ぼす影響は強まりつつある。CGMマーケティングを手がける企業は増え続けていることから、企業が一方的に情報を展開するのではなく、消費者と協力しながら情報発信する動きは加速していきそうだ。