その他
日本HP 世界No.1の意地をかけプリンタ市場を攻略へ
2007/12/03 21:10
週刊BCN 2007年12月03日vol.1214掲載
日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小出伸一社長)は今年度(2008年10月期)から、企業向けプリンタ事業を戦略的に強化する。パソコンやサーバーなど、ハードウェア機器の販売会社などを通じたプリンタ販売を拡大する。米HPによれば、インクジェットプリンタの世界販売台数はHPが11年連続シェアトップだが、国内市場ではシェア数%と、国産プリンタメーカーの後塵を拝している。しかし、日本HPが本腰を入れてきたことで、競争が激化することは確実。同社は、早期にシェア10%を獲得し、存在感を示す考えだ。
早期に国内シェア10%が目標
ハード販社を通じた間接販売で
日本HPは11月1日付で、企業向けプリンタのシェアを高めるため、従来「コンシューマビジネス本部」に属していたプリンタ部隊やプリンタ販売のパートナー部隊など、分散していた部隊を「イメージング・プリンティング事業統括」へ集約した。この傘下には、プリンタ販売の9割を占めるパートナー販売の「ボリュームビジネス本部」、直販の「エンタープライズビジネス本部」、家電量販店に大判プリンタなどを流通する「グラフィックス・サプライビジネス本部」などを設置した。「ボリュームビジネス本部」には、「パートナー営業部」を創設。同営業部は、パソコンやサーバーなどハード機器のパートナー販売を統括する既存組織「ソリューションパートナー営業統括本部(SPO)」と連携して、企業向けプリンタ販売を展開する。SPOの斉藤一也・第一営業本部長は「SPOとプリンタ部隊は、この組織改編で連携が強固になった」と強調する。
同社のプリンタ製品群は、SOHO、中堅中小企業(SMB)や大企業向けのシングル機やMFP(デジタル複合機)、国内シェアトップの大判プリンタなどを揃えている。特に、インクジェット機は、1984年に世界で初めて発売して以来、06年までに累計3億台を販売している。世界シェアは45%で競合他社を圧倒している。インクジェット機の製品群は、A6判、A4判、A3判、コピーとFAXなどを搭載したデスクトップ型複合機を含めて14機種ある。
今年度はまず、世界的な「パワーブランド」であるインクジェット機を主に、SOHOとSMB向け販売を強化する。パートナー営業部の岩永秀紀部長は「コンシューマ向けのインクジェットプリンタは国内企業で100万台が使われている。しかし、インク容量や給紙量が少なく、ランニングコストも高い。一方、カラーレーザーも価格が高く、消耗品交換が頻繁であるなど不満点が多い」とみており、安価で高速な同社のプリンタで、個人商店や省スペースのデスクトップ向けなどで利用されているコンシューマプリンタやレーザープリンタのリプレースなどを狙う。
インクジェットとレーザーを含め、企業向けプリンタは、パソコンやサーバーなどの既存パートナーを主体に販売展開する。現在、日本HPの販社は、全国に約3000社あり、このうち過去1年間にHP製品の販売経験がある販社が3分の1ある。こうした販売系SIerや大手ディストリビュータのほか、これらの2次店、事務機ディーラーやリセラーなどと連携して流通網を構築し、販売プログラムの作成、技術トレーニングや製品情報、イベント開催などを積極的に行う。
また、リベート(売上割戻)の取り決めやサプライ品など販社に利益をもたらす商材の販売方法などを順次説明していく。竹田芳浩・ボリュームビジネス本部長は「当社には、ハードウェアやソフトウェア、ソリューションとプリンタを含めた総合力があるので、勝算がある」とし、国産プリンタメーカーに対抗できると強調する。
一方、直販部隊では、今年5月に発表した新サービス「マネージドプリントサービス(MPS)」を本格化する。同サービスでは、企業内のプリンティング環境を最適化し、生産性向上と印刷コスト削減を支援。MPSを実現する同社独自のカラーインクジェットMFPとして、印刷枚数が毎分カラー50枚/モノクロ60枚、同カラー40枚/モノクロ50枚の高速機2機種の販売を6月から開始した。プリンタ事業を統括する挽野元・執行役員は、「カラーMFPはすでに、国内の外資系企業を中心に年間約3000万円の売上高を達成している」という。同社によれば、企業内の印刷コストは売上高の1-3%を占める。MPSを活用すれば印刷コストを20-50%程度削減できるとしている。
国内プリンタの販売台数は、企業向けレーザーのシングル機、MFPともに、リコーやキヤノン、富士ゼロックス、エプソンなどがシェアの大部分を占めている。企業向けインクジェットプリンタは、エプソンのコンシューマ向けプリンタなどが市場を固めている。日本HPのMFP販売は、国産プリンタメーカー並みの保守・サポートの整備次第で急成長する可能性がある。一方、インクジェット機は、低価格・低運用コストであり、小規模企業に対し既存販社と組むことで、欧米と同様に日本市場も脅かすことになりそうだ。
日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小出伸一社長)は今年度(2008年10月期)から、企業向けプリンタ事業を戦略的に強化する。パソコンやサーバーなど、ハードウェア機器の販売会社などを通じたプリンタ販売を拡大する。米HPによれば、インクジェットプリンタの世界販売台数はHPが11年連続シェアトップだが、国内市場ではシェア数%と、国産プリンタメーカーの後塵を拝している。しかし、日本HPが本腰を入れてきたことで、競争が激化することは確実。同社は、早期にシェア10%を獲得し、存在感を示す考えだ。
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