その他
首都圏コンピュータ技術者 共同受注方式を推進
2008/03/24 14:53
週刊BCN 2008年03月24日vol.1228掲載
ソフト開発の首都圏コンピュータ技術者(横尾良明代表取締役会長)は、共同受注方式を推進する。開発人員の動員可能数はおよそ1800人に達し、年商100億円を超えるまで急成長してきた。だが、オフショア開発の広がりや大型ソフト開発プロジェクトの先細り感が強まるなか、自ら元請けになるなどビジネスモデルの刷新に乗り出す。従来の元請けベンダーとの関係がぎくしゃくする危険性も否定できないものの、多層下請け構造から脱却することが勝ち残りの道へつながると判断した。(安藤章司●取材/文)
多層下請け構造から脱却
大型ソフト開発に先細り感
■体制一新でビジネス伸ばす
中堅ソフト開発ベンダーが、共同受注方式(ジョイントベンチャー)を推進するのは異例のことだ。一歩間違えれば元請けの大手ベンダーとの関係を悪化しかねない諸刃の剣。あえて自ら元請けになると表明したのは、「難局に直面している」(横尾会長)との危機意識が背景にある。
脱メインフレームやオープン化、メガバンクの基幹業務システムの統合プロジェクトが終息に向かうなど、重厚長大型のシステム開発が減少する可能性が強まる。海外オフショアも進展しており、単純なプログラム開発だけで従来どおりの収益を確保するのは難しい。また、自身が多層下請け構造に組み込まれるケースが少なくなく、収益を圧迫する要因になってきた。
首都圏コンピュータ技術者では、こうした状況を踏まえ、共同受注方式の運用基準や売上分配などのルールを明確化。より多くの案件で元請けになるよう努める。おおもとの契約形態から見直し、ビジネスモデルの刷新につなげるものだ。
同社は通常のSIerとは異なり、ソフト開発技術を持つ個人事業主を組合員とする協同組合として伸びてきた。しかし、規模が大きくなってきたことや、多層下請け構造からの脱却といった事業改革を推進するため昨年10月、株式会社へ体制を一新。同時にガバナンス面を整備し内部統制の強化やコンプライアンスもさらに徹底する。
ただ、最大の特徴である個人事業主を主体とする形態は変えない。契約する個人事業主(=旧組合員)を“パートナー”と位置づけ、ソフト開発を請け負う。昨年12月には関連会社など7社と合併したことで社員数はおよそ5倍の約240人に増え、パートナー数は1800人に達する。とはいえ、個人事業主1人ひとりの立場は組織体である企業に比べて弱い。会社全体で見ても年商100億円余りと中堅SIerクラス。ややもすればソフト開発の多層構造のなかに埋もれる傾向があった。
■大手SIerも協力に乗り出す
首都圏コンピュータ技術者は、得意分野をより明確にするための人材教育に力を入れるとともに、共同受注方式によって下請けをなくし、多階層の構造からの脱却を目指す。大手SIerの野村総合研究所(NRI)はオープンソースソフト(OSS)分野での技術協力を表明。これまで取引関係にあったSIerなどの協力も得ながら、技術水準の向上を目指す。NRIは主要なOSSをベースとするシステム構築支援サービスを事業化しており、首都圏コンピュータ技術者を通じて自社のOSS関連サービスの拡販を狙う意味合いもあるものとみられる。
ユーザーからみれば、行き過ぎた多層構造は多重派遣や偽装請負などコンプライアンス問題の温床になりかねない。大型のソフト開発プロジェクトでは、元請けから数えて6-7階層に達することもある。
得意分野を打ち出すことは、共同受注時の役割分担もスムーズになり、得意とする領域での仕事も増える。結果的に特定領域のノウハウが蓄積しやすくなり、競争力の向上につながる。ITコンサルティングといったよりレベルの高いプロフェッショナルサービス領域への進出も勢いがつき、元請け受注のチャンスが増える。
NECや日立製作所など大手ITベンダーが大型プロジェクトをジョイントベンチャー方式で受注するケースはこれまでにもあった。だが、下請けになることが多い中堅中小ベンダーが新たに乗り出して成功できるかどうかは未知数。SIerの大手集約が進むなかで、元請けとしての地歩を固められるかどうかが勝ち残りのカギを握る。
ソフト開発の首都圏コンピュータ技術者(横尾良明代表取締役会長)は、共同受注方式を推進する。開発人員の動員可能数はおよそ1800人に達し、年商100億円を超えるまで急成長してきた。だが、オフショア開発の広がりや大型ソフト開発プロジェクトの先細り感が強まるなか、自ら元請けになるなどビジネスモデルの刷新に乗り出す。従来の元請けベンダーとの関係がぎくしゃくする危険性も否定できないものの、多層下請け構造から脱却することが勝ち残りの道へつながると判断した。(安藤章司●取材/文)
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