台湾のデジタル機器大手のベンキュー（コンウェイ・リーCEO）でアジアパシフィック地域を統括するベンキューアジアパシフィックのエイドリアン・チャン社長が来日、インタビューに応じ日本企業との業務・資本提携交渉を進めている状況を明らかにした。

　交渉を進めているのは、先進テクノロジーを持つ技術系企業。チャン社長は、「ユーザーが欲しがっている商品を開発するための戦略として、自社技術だけにこだわってはいない。魅力的なテクノロジーを保有する企業があれば、いつでも協業する」とし、他社とのアライアンスによる事業基盤の増強に積極的な姿勢を示している。

　ベンキューはディスプレイとモバイルテクノロジーの増強を図っている最中で、提携交渉先は両技術に関連した企業とみられる。チャン社長は資本・業務提携戦略で、日本企業ほか台湾企業と交渉を進めている方針も明らかにし、対象は製造設備や人員など製造能力が高い企業という。過去に大型M&A（企業の合併・買収）を実行した経験があり、2005年にドイツのシーメンスモバイルを買収している。

　ベンキューは、ディスプレイとモバイル技術に強いデジタル機器のグローバルメーカーで、主軸商品の液晶ディスプレイとプロジェクタほか、PCや携帯電話、デジタルカメラを開発・販売する。自社ブランド商品の販売だけでなく、OEMビジネスにも強い。日本では、96年から本格的な営業活動を始め、液晶ディスプレイとプロジェクタに商品を絞り事業展開する。

　最近ではグループ企業再編に着手。ベンキューなど約12社でグループを形成するが、昨年9月にOEM事業部隊を分社化し、ベンキューは自社ブランドの開発・販売に特化する体制に変更した。