サービスマネジメント関連のカンファレンス「IBM Pulse2008」で米IBMは、膨大な量のデータを管理するストレージのサービスマネジメントについて、その重要性を説いた。
ソフトウェアグループのシニア・バイスプレジデントでグループエグゼクティブを務めるスティーブ・ミルズ氏は、「企業が保有するデータボリュームは、18か月(1年半)で倍増の経過をたどっている。2011年には、この世に存在するデータ量が1800エクサバイトまで達するだろう」と分析している。これは、構造化データだけでなく、デジタル画像や動画、文書などの非構造化データまでもが業務遂行に欠かせないケースが多くなってきていることが要因。同社がストレージ分野のサービスマネジメントをアピールしているのは、企業でデータを保有するなら完璧な管理が必要となってくるからだ。
では、サービスマネジメントという考えでストレージ関連ビジネスにチャンスは到来しているのか。確かにその可能性は高い。しかし、SIerやISVが自社のビジネスと結びつけるとなれば、試行錯誤が必要かもしれない。そんななか、ワールドワイドでは米IBMと組むことでビジネス拡大を図っているベンダーがいる。デンマークに本社をもつSosureだ。
同社は、データを過去のどの時点にでも復旧できるバックアップ製品を主力に据える。支える技術にIBMの「Tivoli CDP」を採用した。「Tivoli CDP」が大企業向けであるのに対し、Sosureの製品は中小企業向け。今は、複数メーカーに対するOEM(他社ブランドでの製品供給)を主体にしている。現段階でビジネスの柱に位置づけるOEMでコンピュータ・アソシエイツと契約を結んだという。日本でも、ソフトメーカーやシステムインテグレータなど複数のベンダーに話を持ちかけている。

昨年からビジネスの本格化を図り、当初から米IBMとパートナーシップを組んでいる。ダニエル・エルフォートCEOは、「当社は、スタートアップしたばかり。ネームバリューを上げるため、(米IBMの)ビジネスパートナーになった」と漏らす。しかし、最もメリットと認識しているのは、「IBMはテクノロジーに関して、どのベンダーよりも優れている。そういった点では、パートナーになった意義は非常に大きい」と実感する。
今後、ビジネス拡大に力を注ぐサービスはウェブを通じて提供する「オンラインバックアップ」だ。サービスプロバイダを対象に販売契約を結ぶ方針で、「IBMのテクノロジーを活用していることから評価が高い」と自信をみせる。ほかにも、中国の大手パソコンメーカーであるレノボと契約を進めており、「ノートパソコンにバンドルさせるといった商談を行っている」という。
Sosureの製品が認められつつあるのは、技術力が高いからだ。ブランド力を最大限に利用しているという点でも、米IBMとパートナーシップを組んでいる意味合いは大きい。(佐相彰彦●取材/文)