その他
SI案件を獲得せよ! NIer、事業領域の拡大図る
2008/08/04 14:53
週刊BCN 2008年08月04日vol.1246掲載
NI(ネットワークインテグレーション)を事業柱に置くベンダー(NIer)がSI案件の獲得に乗り出した。もはやネットワーク機器の販売だけでは生き残れない状況のなか、各社ともビジネス領域の拡大によって起死回生を図る。これまで“下請け”感が強かったネットワークインフラの構築ビジネスにSIを加えることで主導権を握ることが最大の狙いだ。
起死回生を狙った生き残り策
ネットワンシステムズは6月下旬に社長が交代。シスコシステムズでパートナー営業やマネージドサービスなどを担当していた吉野孝行氏がネットワン新社長に就任した。このほど吉野氏が初披露となる戦略発表会を開催。ネットワークインフラ構築を中心としていたビジネスの枠を超え、「今後はサーバー・ストレージ、OSなどコンピュータプラットフォームの分野まで事業を拡大する」ことを明らかにした。
当面は、ビジネスチャンスがあるといわれるデータセンター(DC)をターゲットに事業を展開。「DCを顧客として獲得するには、コンピュータシステムからネットワークインフラまでを網羅した提案が必要となる。そのため、SI領域に入りこまなければならないと判断した」としている。
ネットマークスでも、DC向け事業に本格着手。昨年から日本ユニシス傘下に入った同社にとっては、「日本ユニシスグループが“バック”についたことで、思い切ったソリューション提案が行える」(大橋純社長)と強気の発言をしている。ユニアデックスとの連携などで、コンピュータシステムからネットワークインフラまで一貫したインテグレーションを手がける方針だ。
三井情報では、昨年4月の合併でSIとNIの融合ビジネスを追求。結果、昨年度(2008年3月期)業績は売上高590億9700万円(前年度比42.5%増)、営業利益49億5500万円(125.3%増)、経常利益50億7900万円(114.2%増)などと大幅に増えた。しかも、次の成長に向けて今年6月には新社長が就任。親会社の三井物産で海外経験豊かな下牧拓氏の新体制の下、「業界における当社の立ち位置を確立する」としている。確立するための具体的な戦略を現段階では打ち出していないものの、「SIとNIの融合ビジネスを1社で完結できる反面、何でもできることで得意分野がないと認識されてしまう危険性もある。(SIとNIが行えるという)持ち味を生かしつつ埋もれないよう、差別化を図っていく」方針を示す。
NIerがビジネス領域の拡大を図ろうとしているのは、ネットワーク機器の販売だけでは食べていけない状況が依然として続くためだ。とはいえ、主要事業の縮小撤退は会社継続の観点から避けなければならない。これまでは、旧ネクストコムが旧三井情報開発と統合することや、ネットマークスが日本ユニシスの子会社になるなど、NIerにとっては消極的ともとれる決断を強いられてきたわけだが、こうした事象はNIに厚みをつけることが狙い。ようやく「SIをも網羅できるビジネスが展開できる体制が整った」というのが各社の自己評価だ。ネットワンは、M&Aは実施していないものの「SIerとのアライアンスを水面下で進めてきた」(吉野社長)と打ち明ける。
また、「SIerが新しいビジネスに進もうとしている」(ネットワンの吉野社長)という環境をメリットと捉えている。ソフト開発を中心としたSIerのなかには、SaaSなどアプリケーションサービス提供にシフトするケースも少なくない。こうした状況のなか、NIerにとってはSI領域にまで手を広げることがビジネス拡大のカギと認識しているようだ。
このように、SIerとNIerが競合関係になる時代に突入した。NIerにとってはSIerと同レベルでSIを手がけられるかという課題が残るが、案件で主導権を握るような“プライマリーベンダー”になろうと努力している姿が垣間見られるのは、たくましく感じられる。
NI(ネットワークインテグレーション)を事業柱に置くベンダー(NIer)がSI案件の獲得に乗り出した。もはやネットワーク機器の販売だけでは生き残れない状況のなか、各社ともビジネス領域の拡大によって起死回生を図る。これまで“下請け”感が強かったネットワークインフラの構築ビジネスにSIを加えることで主導権を握ることが最大の狙いだ。
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