わが社にも“クラウド”がやってくる時代に――。仮想化ソフトのヴイエムウェアは、ユーザー企業やSIerが自身のデータセンター(DC)にクラウド・コンピューティング環境を構築できる新バージョンを投入。インテルも仮想化ソフトを高速化する機能を持った最新CPUの販売に力を入れていることから、仮想化技術を駆使したクラウド環境の普及の勢いがより強まりそうだ。ただ、クラウド化によってハードウェアにかかるコストが確実に下がるため、サーバーベンダーの心境は複雑である。
サーバーメーカーは心境複雑

ヴイエムウェアが新バージョン「VMware vSphere (ヴイスフィア)4」を発表した4月22日、製品説明会場にはNECや富士通など主要サーバーメーカーの幹部が一堂に会した。旧製品「Infrastructure 3」から名前が変わった同製品は「クラウドを実現する機能」(三木泰雄社長)を実装。これまでの“仮想化ソフト”としてではなく“クラウドのOS”として売り込む方針だ。仮想化を巡っては、システムが複雑になることからオーバーヘッドロスが課題になっていたが、インテルの最新CPU「Xeon 5500番台」では、ハードウェア(HW)による仮想化処理機能を大幅に強化。国内SIerで最も早く大規模なクラウド型DCを構築した新日鉄ソリューションズ(NSSOL)による動作検証によれば、仮想化によるオーバーヘッドロスを従来の20分の1に削減できる。従来のWindowsやLinuxなどのOSを直接HWの上に走らせるのと「大して変わらない速さ」(NSSOLの大城卓・ITエンジニアリング事業部長業務役員)と舌を巻く。
GoogleやAmazonのようなクラウド環境が、ユーザー企業やSIerのDCで簡単に構築でき、HWコストを削減できる条件が急速に整いつつある。ヴイエムウェアは、新製品投入に間髪入れず、「HWに要するコストを50%以上削減することを保証する」プログラムを始めると発表。もし達成できなければ、同プログラムにかかる同社のコンサルティング費用は取らないという内容に、思わずしかめ面になるのはHWメーカー各社。当面はクラウド環境への移行特需が期待されるものの、それ以降の「ビジネスの視界は不明瞭」(サーバーベンダー幹部)と、ソフトやチップメーカーに翻弄され続ける立ち位置は、相変わらずの様子。クラウドは時代の流れで、それによって特需も生まれるが、長い目で見ると得なのか損なのか…、悲喜こもごもである。(安藤章司)