「売り」を支援する制度もスタート
2008年の2月から4月にかけて、大手コンピュータメーカーやSIerは次々とSaaS事業の本格展開を発表し、SaaS時代到来の旗振り役を演じた。富士通(野副州旦社長)はその1社だ。昨年2月にパートナー制度とサービスメニューを公開。ITベンダーとの協業による事業推進をPRした。あれから約1年。SaaS事業の成長、パートナーとの協業体制はどこまで進んだのか。富士通が5月13日に開いたパートナー向けSaaSイベント「富士通SaaSパートナーフォーラム2009」からその答えを探った。
5月13日、毎年1回開く自社製品・サービスの大展示会「富士通フォーラム」直前日に、富士通は「富士通SaaSパートナーフォーラム2009」を開いた。SaaS関連事業で協業するパートナーなどを対象に、SaaS・クラウド戦略とパートナー支援制度、協業事例を説明する場がそれで、今年が3回目になる。
阿部孝明・サービスビジネス本部常務理事は、そのフォーラムで「SaaSパートナーは260社、富士通のSaaS基盤で動作するSaaSサービスは17種類に増加した」と明らかにした。下図に示したとおりだが、昨年5月と比較した場合、パートナー数、パートナーおよび富士通自社で開発したSaaSサービスすべてが増えている。とくに、パートナーのSaaSは昨年1種類もなかったが、現時点では17商品をラインアップ。富士通がつくったSaaS基盤で他社のアプリが稼働、サービスとしてユーザーに販売されていることになる。
パートナーの数は108社から約2.5倍の260社に拡大。内訳をみると、自社開発アプリケーションのSaaS化を検討するITベンダー向け「アプリケーションパートナー」は95社、SaaSアプリの販売を検討するベンダー向けの「リセールパートナー」は89社、将来的にSaaS事業の開始を検討する「ベーシックパートナー」は76社になった。
今回、このイベントで富士通は新たな支援内容も合わせて発表した。とくに、SaaSアプリを売るための仕掛けを多く揃えている。今年4月に開設したSaaS関連サービス情報を集めたポータルサイトで、今年度第2四半期にこのWebサイトでSaaSサービスを販売できるようにする。また、「リセールパートナー」向けにSaaSアプリの売り方セミナーを定期開催する。富士通社内向けにパートナーのSaaSサービスを紹介し、富士通社員がSaaSアプリを提案する体制を強化していく。
富士通のSaaS基盤でアプリケーションをSaaS化したシフトの遠藤広行代表取締役は、富士通のプログラム参加の狙いをこう語っている。「SaaSビジネス成功には商品開発力と資金力、そして販売・営業力と企業信用力が欠かせない。技術系ベンチャーのわれわれが弱い販売・営業力を補うパートナーとして富士通に期待している」。富士通はこの声に応える内容を加えたわけだ。
SaaSビジネス成功のカギは、「どう売るか」だ。富士通のリセラーパートナーが活気づき、パートナー経由でSaaSサービスが流通する流れを作れれば、ベンダーが乱立する群雄割拠のSaaS基盤ビジネス市場で一歩抜け出すはずだ。(木村剛士)