米マイクロソフトは6月2日、PC向けの新OS「Windows 7」を10月22日に発売すると公式発表した。「日本市場での発売日は未定」(日本法人広報)なものの、大幅にずれる可能性は低い。5月7日にRC(製品候補)版がリリースされ、新搭載する技術・機能は明らかになっているが、その特徴と市場活性化の可能性を探った。
「Vista」不調で期待高まる新OS
■米国では10月22日発売

今年6月3日、米マイクロソフトはPC向け次期OS「Windows 7」の発売日を正式発表した。その日とは10月22日。日本でのリリース日はまだ発表されていない(6月5日時点)が、「Vista」の投入日が世界同時だったことを考えれば、大幅にずれる可能性は低い。「いよいよか!」と感じているアプリケーション開発会社やPCメーカー・販社、SIerも多いはずだ。
マイクロソフトは「Windows 7」関連の情報を08年11月に始め、今年1月にはベータ版をリリース。そして5月には、RC版を提供している。ITベンダーやユーザーは誰でもこのRC版をウェブサイトからダウンロードして試すことができ、ITベンダーは自社が開発・販売するアプリの動作検証が可能だ。
■パフォーマンスを大幅改善
では、「Windows 7」は“使える”OSか。 「Windows 7」が「Vista」に比べて優位なのは、動作の軽快さに尽きる。「Vista」ではさまざまな新機能・技術を搭載したが、それとともに大きな代償も払った。パフォーマンスの低下だ。

右図で示した「XP」と「Vista」、そして「Windows 7」のパフォーマンス比較表を見てほしい。VistaはXPに比べて起動とシャットダウンの時間が7.24秒遅い(マイクロソフト調べ)。他の項目では、VistaはXPよりも動作が速いが、起動とシャットダウンはユーザーが最も頻繁に操作するものだけにイメージも強く残り、「Vistaは遅い」という世論が形成された。「Windows 7」ではそれを改善している。Vistaが持つ機能・技術を備えながら、処理能力を向上させたのだ。
法人での利用に特化した場合でいえば、セキュリティ機能の拡充と、運用管理の手間軽減がある。上位版では、「BitLocker」という暗号ツールの機能を拡充し、ハードディスクドライブ(HDD)とリムーバブルディスクのデータ暗号化に対応、暗号化していないデータのUSBメモリの書込禁止機能も追加した。運用管理では、システム管理者が各PCで動作するアプリを制限できる機能を付加。ライセンス違反を防ぎ、また不要・不正なアプリ導入によるトラブル発生も回避できる。
中川哲・コマーシャルWindows本部本部長は5月下旬に開いた報道関係者向け説明会で、「最も期待するOS」と自信を表明している。
■Vistaの失敗が需要喚起に
では、はたして法人市場に受け入れられるか。可能性は十分にある。なぜなら、Vistaがそれほど普及していないからだ。
国内企業・団体でVistaを導入している企業は10社に1社といわれる。あるSIerはこう言う。「Windows 7」が発売されると、XPユーザーは2世代前のOSを利用していることになる。そうなると、情報システム管理者への心理的不安要素が出てくる。2世代前のOSを使いたくないという心理が顧客に買い替えを促進させる。新機能など必要なく、パフォーマンス向上だけで売り文句としては十分だ」。
理由はもう一つある。マイクロソフトは対応アプリを迅速に増やす仕組みも用意している。これまでマイクロソフトから対応アプリとのお墨つきをもらうためには、第三者機関のチェックを有償で受ける必要があった。しかし、「Windows 7」では無償のテストツールを配布する。そのツールを使ってアプリベンダーが検証して結果を送り、審査に合格すれば認定ロゴを得られる仕組みにした。現状よりも検証から認定までの時間が短くなることは間違いない。ユーザーに安心感を与えるまでの期間も短縮できる。
現行OSの不調が新OSへの期待を高めるというのは皮肉な話だが、7世代目のクライアントOSが市場を元気づける可能性は十分にある。