J-SaaS、スタートから3か月
目標到達度はわずか10分の1 国家プロジェクトとして今年4月1日から始まったSaaS型サービス「J-SaaS」。26種類のアプリケーションが一つのIT基盤から一斉に販売されてから、3か月が経過した。「2010年度(11年3月期)末までに50万社の利用」獲得という挑戦的な目標をぶち上げたが、はたしてその初速は――。「J-SaaS」にアプリを提供しているISVの感触はどうなのか。
4月1日に満を持してスタートした国主導のSaaS型サービス「J-SaaS」。従業員数20人以下の中小・零細企業のIT化を推進するために用意したこのSaaS型サービスは、来年度末までに50万社の利用者獲得という強気の目標を掲げている。国主導、そして18社が開発した26種類のアプリケーションが、一つのSaaS基盤から提供される前例ない仕組みだけに、ユーザー企業にどの程度受け入れられるか。その初速に、SaaSビジネスに関心を持つITベンダーは注目していた。
「開店休業中みたいなもの」──。「J-SaaS」にアプリケーションを提供するビジネスオンラインの藤井博之代表取締役は、「J-SaaS」が始まって約3か月が経った状況をこう表現した。「国のプロモーション活動がこれから本格化する時期なので、『これからが本番』という感触」。藤井代表取締役はこう続けた。
また、J-SaaSに参加する別のISVは、「具体的な数値は言えないが、目標数値には10分の1も届いていない状況だ。経済産業省のPR施策も期待したほど活発ではない。今後どのようにユーザーを増やせばいいのか…。ほかの参加ISVも同じような感触だと聞いている」と、ため息交じりに漏らした。
経産省は、3か月が経過した後の目標数値や実際の獲得ユーザー企業数を公にしていないので、どの程度の感触をつかんでいるかは明確ではない。だが、少なくともISVは、「順調に立ち上がっている」とは感じていないのが実状のようだ。
経産省はアプリの拡充とともに、認知度向上・PRをJ-SaaSの今年度の注力施策として位置づけている。今夏から積極展開するといわれるPR施策が、どの程度の成果をもたらすか。投資しにくい状況でもITにカネをかけるメリットを訴え、ネット越しにアプリを利用する不安を取り除き、投資に結びつける──。決して容易なことではない。だが、20億円もの大金をかけて開発したこの基盤・サービスが、鳴かず飛ばずでは許されない。来年度末まで1年半を切った現在、スピードを上げたPR活動が求められている。(木村剛士)
| 「J-SaaS」とは? |
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| 経済産業省が企画して開発したSaaS型サービスのITインフラとそのサービス。国がシステム開発・運用費、加えてPR費用を負担して、一つの情報システムで複数のISVが持つアプリケーションを購入・利用できるようにしたものだ。システムの開発・運用は富士通が担当し、アプリは18社から集めて26種類が現在提供されている。今夏には10種類弱のアプリが追加されることが決まっている。 |