2009年11月1日付で細井洋一氏が新社長に就任したことに伴い、ジュニパーネットワークスは11月中旬、新体制のもとで新しい方向性に進むことをアピールするための記者会見を開いた。事業拡大を図るうえで最も重視していたのが「パートナーとの協業強化を図る」(細井社長)こと。販社に対して、これまでとは異なった支援制度を設けるなど、パートナーシップを深耕することでマーケットを広げていく方針だ。
パートナーとの協業がカギ
今年4月から米国本社の幹部がトップを兼務する体制が続いていたジュニパー日本法人に、新社長が就任したことは、ネットワーク関連業界のなかで話題を呼んでいる。今年4月から10月までの約6か月間を除けば、大須賀雅憲氏が2002年からの長期間にわたって社長を務めていたこともあり、販社の間で「(大須賀氏が退任したことで)当面は、何かが変わることはないだろう。しかし、日本市場に専念するトップが不在のままでは厳しい状況になるのではないか」というような声が飛び交ったこともあった。それだけに、ようやく日本市場に腰を据えるトップが就いたことは大きな出来事といえるだろう。

11月1日付で社長に就任した細井洋一氏
そのジュニパーが掲げるのは、「コンピュータメーカーとのパートナーシップを深めることに加え、SIerやNIer、ディストリビュータなど販売パートナーへの支援強化でマーケット領域を広げる」(細井社長)ということだ。
コンピュータメーカーとのパートナーシップ深耕についていえば、IBMやデルなどとの協業を生かしてジュニパーのネットワークOS「JUNOS」を中核としたアプリケーション提供の拡大を図ることを指す。このほどIBMやデルに対してワールドワイドでJUNOSをライセンス提供することを発表した。販社への支援強化策については、「インテグレータやディストリビュータが、それぞれの領域で効率的にビジネスを手がけることが可能な“エコシステム”の構築に力を注いでいく」という。
細井氏は、これまでバイテル・ジャパン(現・エクスパダイト)や日本SSAグローバル、ハイペリオン(現・日本オラクル)などで社長として指揮したほか、日本サン・マイクロシステムズ(現・サン・マイクロシステムズ)で常務執行役員を務めるなど、多彩な経歴をもつ。「ネットワーク関連業界では、主にサービスについて多くのことを学んできた。この経験を生かし、今後はハードウェアまでを網羅した新しいネットワーク関連の製品・サービスを創出していく」方針を示す。
直近では、グラフィックス・ボード関連メーカーのエヌビディアで日本代表兼米国本社ヴァイスプレジデントを務めていたことがジュニパーに移籍するきっかけになっている。米国本社は、「ネットワーク関連の豊富な経験や、(エヌビディアというネットワークと異なった業界である)前職での活躍を含め、日本法人社長として、舵を切ってもらえるよう積極的にアプローチした」(アダム・ジャッド・アジア太平洋地域担当副社長)そうだ。
これまでのノウハウを生かし、「販売パートナーへの支援制度については、各パートナーと密に話し合って詰めていく」(細井社長)。新社長体制のもと、今後どのような具体的な戦略を打ち出すのか。同社の真価が問われることになる。(佐相彰彦)