富士通(間塚道義会長兼社長)は、中小企業向けサーバー市場の本格的な開拓に乗り出した。2007年から試行してきたパートナー企業の支援プログラムを、新たにPRIMERGYビジネスカウンセラー(PBC)育成支援プログラムとして体系化。富士通パーソナルズ(FJP)のパートナー企業であるFM Network Partner(FNP)と富士通のソリューションディーラー、これらの2次店に浸透させる。
FNPとは、FJPを通じ「FMVシリーズ」や「PRIMERGY」を中心にシステム販売を担うパートナー企業をいう。「FNPは、事務機や文房具を扱う販売会社が多くを占める」(パートナービジネス本部第一パートナー統括営業部第四営業部長ビジネスカウンセリンググループの弓田光正氏)。すでに富士通のパートナー企業と合わせ、53社がPBC育成支援プログラムのテスト試行に参加してきた。これをさらに「2010年度中に300社くらいは開拓していきたい」(弓田部長)考え。「既存のパートナー企業の営業育成支援というスタンス」という。2010年度で20万台の売り上げを目指す構想をぶち上げている。
PBC育成支援プログラムは、サーバー販売を通じた提案型営業育成プログラムのほかPBC認定者向け販売支援ツール、PBCスキル認定者向け認定者向け充実サポートを提供する。そのほか、FNPが収集した中小企業のデータをもとに富士通が仮想提案書を作成したり、富士通パーソナルズによるレスキューダイヤルを設けたりもしている。
富士通は、PBC認定者を増やすことで、人材育成の全社プロジェクトをFNPで組織的に推進するスキームを描く。PBCは、学んだ知識や経験を社内で実践し、展開。月1回、富士通にフィードバックする。
PBC育成支援プログラムによって、営業手法は大幅に改善された。訪問すべき企業は半年ほど前から調査を重ね、商談ステージごとの総量管理と案件醸成を経て、見込顧客の潜在ニーズを把握。戦略的に提案できるようなノウハウを確立した。
富士通が中小企業市場の開拓に本腰を入れ始めた背景には、サーバーの導入が中小企業で十分に進んでいないという状況がある。中小企業では、ITで経営を効率化といってもピンとこない企業が少なくない。
サーバーもコモディティ(日用品)化が進み、差異化を図るのは難しい状況だ。ではどうするか。あるコンサルタントの表現を借りれば「常に横にいる存在」として中小企業の悩みの相談相手になっていくことが生存への早道だ。今回の富士通の試みは、競合メーカーにとって脅威となりそうである。(信澤健太)