PCサーバー販売の苦戦が続いている。景気後退による企業の投資抑制や価格下落などで市場は低迷。従来型のハードウェアとしての販売は今後も厳しさが増す見込みだ。縮小する市場に対し、メーカー、販社も手をこまねいているわけではない。クラウドコンピューティングの本格普及を見越したデータセンター(DC)需要やソリューションとの組み合わせなど、さまざまな知恵を絞って販売強化に乗り出している。果たしてサーバー市場は再び活性化するのか。ITベンダー各社の取り組みを追った。
落ち込む市場、5年前の水準に後退か 情報システムのオープン化需要を背景として花開いたPCサーバー。だが、サーバー市場に詳しいノークリサーチの調査によると、国内の出荷台数は2007年度の55万台をピークに減少。リーマン・ショックを端緒とした世界的な景気低迷で08年度の市場はマイナス成長を記録した。09年度も不況の影響を受け、そのマイナス幅をさらに広げる可能性が高い。
ノークリサーチの伊嶋謙二社長は、「(年間出荷台数は)当初予想より悪化するとみており、45万台を切る可能性がある」と厳しい予測を示す。サーバー市場は価格下落が激しいが、ここにきて金額面では高機能型モデルなどへのシフトで平均単価は下げ止まり傾向にある。しかし、出荷台数が45万台を切るような結果に終われば、5年前(04年度)のマーケット水準にまで市場が縮小することになり、ビジネスはますます厳しくなる。


富士通
20万台出荷体制を整える PCサーバー市場で不況の影響を最も大きく受けたのは09年度第1四半期。その状況下で、唯一プラス成長を果たしたのが富士通である(ガートナー調べ)。昨夏に掲げた「11年度に国内20万台の出荷」という挑戦的な目標を「変えるつもりはない」(間塚道義会長兼社長)方針で、パートナーを含めた流通網を再構築することによってシェア向上を狙う。

富士通のPCサーバーを製造する富士通アイソテック(福島県伊達市)
カギを握るのは、完全子会社化したグループのSI会社、富士通ビジネスシステムズ(FJB)だ。富士通は中堅企業向け事業をFJBに一本化することを決めており、パートナーとの連携もFJBの役目。FJBがパートナーとの関係を強固にできれば、PCサーバーの販売が伸び、目標達成に大きく貢献すると期待する。FJBはそのパートナーとの連携体制を構築している真っ最中だ。
一方、製造現場でも20万台という目標に向けた取り組みが続く。富士通のPCサーバー「プライマジー」を製造するグループ会社の富士通アイソテック(福島県)では、トヨタ生産方式を導入。コストダウンと品質確保、納期短縮を追求する生産活動に取り組んでいる。増田実夫社長は「現場としては単価が下がっても利益を出せるよう、コスト削減を徹底する。また、納期短縮は機能とは違う形での大きな付加価値になる。こうした地道な取り組みを通じて20万台の達成に貢献する」と、力を込める。

富士通アイソテックではトヨタ生産方式を導入。2011年度の国内20万台出荷に向け、ムダを徹底的に排除した効率的な生産体制を追求している
[次のページ]