日本アバイア(フランソワ・ランソン社長)は、ネットワーク機器メーカーであるノーテルネットワークスのエンタープライズ事業を買収した効果として、販売チャネルの増加と販社支援の強化で対象領域が拡大することを挙げている。日本を含め、ワールドワイドレベルで販売チャネルの拡充を掲げており、IPテレフォニー分野で不動の地位を築き上げる方針だ。
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丹羽啓晋 市場開発部長 |
ノーテルのエンタープライズ事業を買収したことにより、日本アバイアの1次店は15社から23社に増加、23社のうち4社が以前からアバイアとノーテルの両製品を販売している。丹羽啓晋・市場開発部長は、「販売網が拡充したことで対象領域を広げる素地が固まった」と自信をみせる。
具体的に伸ばしていく領域は、中堅企業。中規模のコンタクトセンターを中心に新規開拓を進めている。一般オフィスへのアプローチに関しては、「ユニファイドコミュニケーション(UC)で製品カテゴリを拡充したほか、戦略的な価格で他社との差異化を図る」(平野淳・アバイアアジアパシフィックソリューションマーケティング部長)としている。ほかにも、イーサネットスイッチとの連携を踏まえた総合的なネットワークインフラの提供も視野に入れる。
製品面では、UC分野でミドルウェア「AVAYA Aura」の提供によるアプリケーションとの連携や、「以前から、ノーテルとは製品分野でアライアンスを組んでいた」ため、すでにアバイア製IPテレフォニーとノーテル製スイッチの製品連携が可能という。
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平野淳 ソリューション マーケティング部長 |
このような状況を踏まえると、買収効果があるようにみえる。ただ、課題もある。それはノーテル販社への対応だ。日本を含めてワールドワイドでは、すでにアバイア販社に対してはチャネルプログラムを強化したものの、ノーテル販社に対するプログラムは今年4月からという。国内では8社が該当することになる。これに関しては、このほど国内販社を対象としたパートナーカンファレンスを開催し、日本アバイアの方向性を説明して理解を得たようだ。
また、米国本社ではアバイアの販社よりもノーテルの販社が多いため、「日本では以前から行っていることだが、今後は米国ではチャネルビジネスに力を注ぐことをコンセプトとして掲げている。この実現に向け、ワールドーワイドレベルで徹底的に支援していくことを追求している」(平野部長)という。
同社では、売上高については前年比10%増を継続させることに加え、中規模コンタクトセンターの売上比率を現状の2割から4割までに引き上げること、UC関連ビジネスで近い将来に国内シェア5%の獲得などを掲げている。平野部長は、「コンタクトセンターでは、50%以上のシェアを維持している。そのため、UC市場でのシェアアップ、それに伴う売上伸長は確実に実現できる」と自信をみせている。数値的な目標を果たすためには、いかに販社に対する支援強化策を講じることができるかにかかっている。(佐相彰彦)