ワンビシアーカイブズ(星川恭治社長)が、中堅・中小企業(SMB)向けバックアップ事業の本格化に乗り出した。現時点で6社とのパートナーシップを構築し、ユーザー企業として10社を獲得している。今年度(11年3月期)は、ユーザー企業を300社にまで引き上げる方針だ。
ワンビシアーカイブズがSMB向け事業への着手を決断したのは昨年1月。これまで直販で金融関連など大企業や官公庁などをユーザーとして獲得してきたが、SMBでバックアップのニーズが高まっていることから、ユーザー層を広げることが事業拡大につながると判断した。ただ、「これまで直販が中心だったので、昨年1月から9月までの9か月間は、どのようにSMBを攻めていくべきかを模索していた」と、藪本敦弘・事業開発部係長は振り返る。その過程で、販社の確保を決断。「昨年10月から販社を開拓し、現時点で6社とのパートナーシップを築いた」と、永安俊亮・事業開発部係長は自信をみせる。販社に対して、徹底的にトレーニングを実施。これにより、ユーザー企業として10社を獲得した。

藪本敦弘・係長(左)と永安俊亮・係長がSMB事業を担当している
同社のバックアップサービスが他社と異なる点は、オフラインとオンラインの両方の機能をもっていることだ。オフラインは、専用車両による集配送のほか、保管センターによる磁気テープ専用ロッカーでの保管が特徴。オンラインは、自社のDC(データセンター)を活用してインターネットや閉域網など通信回線による自動バックアップするほか、障害時には専用車両によるデータ配送も行っている。ユーザー企業はオフラインとオンラインのどちらか一つ、もしくは両方の利用を選択できる。藪本係長は、「オフラインに関しては、他社のオンラインと比べてリーズナブルに設定している」とアピールする。オンラインのサービスでは、SMBを対象に「WANストレージライト」という名称でこのほど提供開始。価格は、初期費用が無料、50GBまでのデータ容量を月額料金3万8000円に設定している。
今後は、既存販社とのパートナーシップ深耕で1販社あたりの販売量を増やしていくほか、「今後1年間で販売パートナーを20社まで増やす」(永安係長)としている。ユーザー企業数については、「この1年間で300社が目標」(藪本係長)としている。オフラインとオンラインの両方をもっていることを武器に、まずオフラインのサービスでユーザー企業を新規開拓し、次のステップでオンラインのサービスも追加させるという攻め方が考えられる。SMB市場でバックアップのニーズが高まりつつある状況からみて、目標のバーはそれほど高くはないとみられる。(佐相彰彦)