その他
マカフィーをインテルが買収 セキュリティの“黒子”化が加速か
2010/09/09 21:07
週刊BCN 2010年09月06日vol.1348掲載
2010年8月20日、インテルがマカフィーを買収すると発表した。これまで、セキュリティの専業ベンダーとして、市場を引っ張ってきたマカフィーだが、今後はインテルのソフトウェア&サービス事業本部傘下の完全子会社として事業を継続するという。今回の買収で、セキュリティ分野にどのような影響が現れるのか――。
ライバルは冷静に受け止めるが…
インテルは、マカフィーの全普通株式を約76億8000万ドルで取得。両社の取締役会は全会一致で承認し、その後、マカフィーのホームページのトップページには両社のロゴや、社としての声明、本社幹部のブログなどでインテルの買収について触れており、マカフィーにとって非常にメリットのある買収であることがうかがい知れる。
今後は、インテルの半導体関連のソフトウェア開発ツールを展開するソフトウェア&サービス事業本部の傘下に入り、事業としては独立した形でセキュリティソリューションを提供していく。インテルは、これまで省電力とインターネット接続技術などに注力してきたが、マカフィーを買収することによって、セキュリティを第三の柱に据えていく方針だ。
ライバルであるシマンテックのエンリケ・セーラムCEOは「インテルが発表したマカフィーの買収は、PCの範疇を超えて拡大するセキュリティ保護に対する需要の増大と、それに伴う当社の現状戦略の妥当性を強調している」と認める。その一方で、「シマンテックは将来のセキュリティを、利用されているデバイスに依存せず、アクセスが必要な人々や情報に焦点を合わせることが重要だと考えている。ユーザーが情報を利用、保存、発信する機器は複数にまたがり、セキュリティが複数のプラットフォーム上でシームレスに働くことが求められている。シマンテックの戦略は、幅広いセキュリティ製品ポートフォリオを提供し、いつでもどこでも、どんなデバイスにでも対応するセキュリティの保護を提供することだ」とコメントしている。
また、同じくトレンドマイクロは、「インテルによるマカフィー買収は、セキュリティが今後のテクノロジー、製品、サービスに不可欠なものであるということを表していると考える。トレンドマイクロはインターネットセキュリティベンダーとして、『安全という安心を、すべてのひとへ。』というビジョンのもとに、今後もお客様が必要とするセキュリティ対策に継続して投資、開発を行っていく」としている。
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの杉山隆弘社長は「セキュリティは優先順位が高く、あって当たりまえ。だが、インテルのマカフィー買収によって、セキュリティ業界の淘汰が進む。市場はマチュア(成熟)の状況で、今500社くらいあるセキュリティベンダーの数はもっと少なくなっていくが、チェック・ポイントはネットワークに着目し、強みをもっている。独立した専業ベンダーとして存続していくのに十分な基盤がある」と強気な姿勢をみせている。
セキュリティベンダー同士のM&Aも盛んに行われている。古い話になるが、EMC傘下になった米RSAセキュリティの社長であり、米EMCのエグゼクティブバイスプレジデントであるアート・コビエロ氏は「今後、セキュリティの専業ベンダーはなくなるだろう」と予測している。セキュリティそのものは利益を生み出すわけではない。今回の不況の煽りを受けて、ユーザー企業の投資が一番最初に削られてしまったのがセキュリティだ。「あって当たりまえ」のセキュリティ。専業ベンダーが消滅するわけではないが、存在感を主張せずにインフラとして下支えする役目を果たす“黒子”になる構図は、より加速していきそうだ。(鍋島蓉子)
2010年8月20日、インテルがマカフィーを買収すると発表した。これまで、セキュリティの専業ベンダーとして、市場を引っ張ってきたマカフィーだが、今後はインテルのソフトウェア&サービス事業本部傘下の完全子会社として事業を継続するという。今回の買収で、セキュリティ分野にどのような影響が現れるのか――。
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