カスペルスキーラブスジャパン(川合林太郎社長)は、パートナープログラムを刷新。新しく「Green Team」を立ち上げて、パートナーがより販売しやすい体制を強化するとともに、新たにパートナーの営業活動のプロセスを含め、評価できる仕組みを整えた。
日々の活動を評価する新たな取り組み
カスペルスキーは2007年、「Kaspersky Open Space Security」をもって法人セキュリティ市場に本格参入。09年4月に国内での法人向け製品の販売強化を目的に、日本独自のパートナープログラムを立ち上げた。パートナーは3社から70社に増え、急成長を続けている。パートナープログラムの刷新にあたっては、全国主要都市でセミナーを開催。東京では200人近い参加者を集めた。
新プログラムでは、パートナーがカスペルスキーに営業活動を報告すると、マイルを付与する支援策を展開。また、パートナー販社のなかには、営業担当者が自分のPCにカスペルスキー製品をインストールしていないケースがあるため、アンチウイルスライセンスを無料で提供する。
パートナーのカテゴリを新たに追加する施策も打った。これまで、ディストリビュータ、リセラーといった販売中心のパートナーを「Gold Partner(ゴールドパートナー)」のなかで認定していたが、ディストリビュータ向けの支援プログラムとして「Distribution Partner(ディストリビューションパートナー)」というカテゴリを設置。また、個人向けセキュリティ製品を展開するパートナーについては「Retail Partner(リテールパートナー)」を新設した。これまで、ジャストシステムがパブリッシャーとしてカスペルスキー製品を販売していたが、カスペルスキーは個人向け製品で直販サイトをリリースしたほか、今後はダウンロード販売での製品拡販を強化する。
ただ、アンチウイルスソフトのような更新ビジネスは薄利で儲からないと考えるパートナーが多い。そこで、「現在のビジネスと比べて、より多くのプロフィットを提供できる施策として策定した」(営業本部の嵯峨野充本部長)としている。
サイバー犯罪が増え続け、市場で販売されている製品だけで、本当に防げるのかどうかと懸念するユーザー企業が多い。そんななかで、「日本市場に本格的に進出して5年。外資系なので、いつ撤退するかわからないといった不安を抱え、様子見をするパートナーが少なくなかった。だが、その間に営業部を整備し、ビジネスを形にしてきた。カスペルスキー製品の品質を含めた評価が高まっている」(川合社長)という。
カスペルスキーといえば、従来はコアユーザー向けの“知る人ぞ知る”ブランドだった。しかし、エンドユーザーは、ベンダーが提案するブランド力のある製品をそのまま導入するのではなく、コストパフォーマンスの高い製品を自発的に選ぶ傾向が出てきつつある。カスペルスキーは、セキュリティの大手ベンダー以外の新たな選択肢として、パートナーに注目されるようになった。
今回、パートナーの努力をきちんと評価するかたちのプログラムを整備し、日本市場でのビジネスの拡大に弾みをつけようとしている。(鍋島蓉子)

9月17日に東京都内で開催された「カスペルスキー パートナープログラム説明会」の様子。参加者の数に圧倒された