仮想化やストレージなどで知られるネットワールドが、セキュリティ市場への参入の足がかりとして、カスペルスキーと協業した。同社の戦略について、マーケティング本部・本部長代理・経営企画室・室長の日浦武仁氏とマーケティング2部・部長の黒川拓生氏に話を聞いた。

協業でビジネスチャンスを広げる

 ──はじめに、御社の概要を教えてください。

ネットワールド
マーケティング本部 本部長代理
経営企画室 日浦武仁 室長
 日浦 ネットワールドという会社は、1990年にNetWareのテクニカルディストリビュータとしてスタートしました。2000年に、米VMwareと世界で初めて代理店契約を結んだことでも知られるネットサーブと合併し、現在のネットワールドとなっています。ディストリビュータですので、取り扱っている製品も多岐にわたっています。

 製品のディストリビューションに加え、技術サポートの体制をもっていることが最大の特徴です。現在300人ほどの社員がいますが、そのうちの25%が技術本部に所属しています。技術力に長けた企業といえるでしょう。

 黒川 ITインフラの基盤となる幅広い製品・サービスや、革新的な技術をお届けしています。具体的には、技術サポートと検証、コンサルティング、保守などを請け負っています。以前から、特に仮想化に注力してきましたが、そのほかにネットワーク系やストレージ、バックアップ、ロードバランサーにも力を入れております。

 日浦 仮想化に関しては、ヴイエムウェアやシトリックス・システムズ・ジャパン、マイクロソフトなど、代表的な仮想化ソリューションベンダーの一次店になっています。SIer様の陰で活動するので、ある意味目立たない存在といえるでしょう。

 当社は、仮想化を中心としたテクニカルチームを先頭に、コンサルティングを含めた基盤構築をしています。仮想化ではクラウド・コンピューティングが注目されていますが、今後はクライアントPCの仮想化も加速し、ユビキタス・コンピューティングでも重要なテクノロジーになるでしょう。

ネットワールド
マーケティング2部
黒川拓生 部長
 ──セキュリティベンダーのカスペルスキーと、アライアンスを締結した理由をお聞かせください。

 日浦
 カスペルスキーが主戦場としているセキュリティ市場に、当社はまだ参入できていないという反省がありました。実は参入の意欲はあったのですが、運とタイミングに恵まれなかったのです。現在のセキュリティ市場をみると、製品・サービスが出揃い、各社のシェアは安定し、チャネルも確定しています。そのような市場に、無理に参入する必要もないだろうという判断もありました。

 しかし、仮想環境によって、この市場は大きく変わります。メーカーの役割などもドラスティックに変化していくでしょう。そのときが、当社にとって大きなビジネスチャンスになるはず。機会を逃さないためには、あらかじめ優れた製品を手に入れておくことが必要です。その意味で、カスペルスキーとの協業は大きな意味があります。

 ──カスペルスキーに期待することをお聞かせください。

 黒川 カスペルスキーは実績もありますし、コンシューマ市場での認知も進んでいます。パートナー様がお客様に販売していく際に、認知されているかどうかは非常に重要です。さらに、カスペルスキーは多くのメーカー様がOEM供給していることから、高い技術力をもっていることがわかります。

 日浦 クラウド・コンピューティングは、仮想化やストレージなどの複合提案となっていきます。大手ベンダーの場合、シングルベンダーでの提供になりがちで、お客様に本当に最適な提案がしにくいと思います。当社の場合、マルチベンダーでの提供ができるうえ、メーカー並みの技術・サポートを実現しています。その際にも、カスペルスキーの技術力は強みになります。ストレージとの連携などは、技術力がなければ実現できないですから。

 黒川 製品だけの提案は、どうしても価格競争になってしまいます。例えば、仮想環境で重要度が増すストレージですが、単体で考えれば、どの企業が販売しても性能は変わりません。そうなると、価格で選定されていきます。このような消耗戦では、市場も成長しません。複合提案では、お客様に付加価値を提供でき、競合他社との大きな差異化が可能です。お客様にも大きなメリットがあるはずです。


 日浦 確実にいえるのは、ITはクラウド・コンピューティングの方向に進んでいるということです。サーバであれクライアントであれ、データはデータセンターに集約されていきます。そのデータをどう保護し、どう効率よく運用していくのか、という部分に焦点が当たります。カスペルスキーは、仮想環境にも注力していますし、当社と同じ方向を向いているように感じています。

 ──今後の予定を教えてください。

 日浦
 カスペルスキーは非常にいい製品だと思います。その製品と、当社の強みである仮想化やストレージを組み合わせることで、新しい付加価値をお客様に提案させていただきます。単純に組み合わせるだけではなく、より責任のある立場で提供していきたいとも考えています。また、パートナーの皆様には、ロードマップなどができ次第、ご案内していきます。複合型のビジネスを、共に推進していただければと思っています。