セキュリティベンダーのフォーティネットは、昨年リリースしたリセラー向けのパートナープログラム「FortiPartner Program(FPP)」を展開して精力的にパートナーを増やしている。同社は、これまで強みとしてきたSMBだけでなく、これから販売を強化する大企業やデータセンターなどにアプローチするための足がかりとして、パートナーを拡大していく考えだ。
フォーティネットの新免泰幸社長は、2009年の就任当初から「UTM(統合脅威管理)はSMBだけのものではない」とアピールしてきた。海外では通信キャリアでの導入が進むなど、「UTMは中小企業のもの」という概念はないという。これまで、UTMに対するパフォーマンスの懸念から、大企業やテレコム(通信事業者)などの導入がなかなか進まなかった状況にある。だが、ハイパフォーマンスで、かつUTMの特徴の一つである低価格クラウドなどを切り口として、データセンターに上位モデルの製品が導入され始めているという。
フォーティネットは、FPPを展開してパートナーとなるリセラーを増やすことによって、大手SIerの開拓を狙う。同時にSMBの市場を広げていく計画で、20~30社のパートナーを開拓していく方針だ。
同社は、昨年から地域に軸足を置いた施策を強化してきた。昨年は全国7都市でパートナー向けイベント「FortiSummit」を開催し、地域の販社に対するアプローチを強化してきた。従来は首都圏が営業の中心だったが、地域での営業を強化するため、名古屋・大阪地域における営業人員を大幅に増強する。
グローバルの売上高の製品構成比をみると、エントリモデル、ミッドモデル、ハイエンドモデルがそれぞれ3分の1ずつを占めている。
だが、日本ではエントリが43%、ミッドが44%、ハイエンドはまだ13%しか占めていない状況だ。新免社長は「ハイエンドの比率を30%に引き上げていきたい」と意気込む。09年6月に社長に就任してから、ハイエンドを狙う戦略を掲げて1年半がたつ。とくに日本では大企業でも製造業や金融関連、テレコムに入りきれていないという課題がある。これは他のUTMベンダーも同じ状況だ。定着してしまったイメージを払しょくして、日本のハイエンド市場でその存在感を示すことができるか、注目すべき点だ。(鍋島蓉子)