「丸ドメ」からグローバルへ──。住商情報システム(SCS)とCSKが2月24日に経営統合を発表し、10月1日付で新会社「SCSK」が誕生する。単純合算で約2900億円の売上高をもつ。ともに「三番手」として位置づけられていたSIerが「二番手」グループに加わる。これまでは、いわゆる「丸ドメ(丸っきりドメスティック=国内市場限定)」だったという両社。住友商事のグローバル拠点を生かして、日本企業の海外展開のサポートから第一歩を踏み出すという。
CSKは経営多角化戦略を推進してきたが、失敗した。金融・不動産分野で莫大な損失が発生したために、経営基盤が弱体化していた。SCSの中井戸信英会長兼社長は「救済合併ではなく対等合併。一緒になって競争力のある会社をつくろうと統合した」と強調する。
成熟した国内市場で、SI業界は厳しい状況に置かれている。SCSもCSKも中井戸会長兼社長がいう「丸ドメ」であるわけだが、国内の成熟市場でいかに「生き残るか」だけでなく、日本の産業がグローバル展開を余儀なくされるなか、両社にとっても海外市場への対応は早急に取り組むべき課題となっている。
国内成熟市場の状況も相まって、それが経営統合への道筋を一気に加速させる要因となった。加えて、SCSとCSKの得意とする分野が類似していたことも理由の一つだという。両社ともに流通、製造、金融、通信・運輸を主な顧客層としている強みが共通していて、かつ顧客層がほとんど重複しないことから、収益基盤の拡大を短期に効率的に展開できると判断したようだ。
SCSは住友商事グループのグローバルサポートを展開し、ニューヨーク、ダラス、ロンドン、中国の大連、上海などに人員を配置している。海外展開では住友商事グループが世界に展開する拠点が要となる。まずは日本企業のグローバル進出サポートから始めるという。「システム開発、ITインフラマネジメント、アウトソーシング、ソフト/ハード販売のフルラインアップをワンストップで提供できるグローバルITカンパニーとして業界をリードしたい」(中井戸会長兼社長)と意気込む。
統合会見では、故・大川功元CSK会長と住友商事の中興の祖である故・津田久元社長との接点を語るなど、しきりに「近しい仲」を強調していた。新会社名は「SCSK」。設立された年も年商も業容も強みも近く、かつ社名もきれいに組み合わさった。だが、かたや国内で盤石な基盤をもつ大手総合商社系のSIerであり、かたや大阪を地盤とする独立系SIerの最大手。国内を主戦場としてきた「似て非なる」両社の今後の動きには、否応なしに注目が集まる。(鍋島蓉子)