名鉄小牧ホテル(山崎隆治社長)は、レガシーシステムを刷新し、富士通マーケティング(FJM)の「GLOVIA smart ホテル SaaSサービス」を利用することを決断した。新システムは、2010年8月に本格稼働を開始。業務の効率化を図るだけでなく、営業力の強化にも役立てている。
名鉄小牧ホテル
会社概要:1990年設立。名鉄小牧線小牧駅に直結し、名神高速や北陸自動車道につながる小牧インター、東名高速、中央自動車道が分岐する小牧ジャンクションが付近にあるアクセスの良さが特徴。
サービス提供会社:富士通マーケティング
プロダクト名:GLOVIA smart ホテル SaaSサービス
「GLOVIA smart ホテル SaaSサービス」の構成

名鉄小牧ホテルのフロント
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富士通マーケティング 渥美直幸部長 |
2009年、名鉄小牧ホテルは問題を抱えていた。「サーバーが老朽化して、いつ停止してもおかしくない状況だった」と鈴木敦志課長は振り返る。2000年に導入したサーバーはすでに保守期限切れを迎え、システムの延命は限界。更改の必要性を感じていたのだ。
業務面での旧システムの大きな問題は、各種の管理帳票を月次でしか見ることができないという点にあった。そのため、旅行代理店や得意先ごとの売り上げ、客単価などのデータを十分に活用することができなかったという。このほか、会計データのバッチ処理は、毎日正午に処理を開始して30~40分かかるため、その間は予約業務を手作業で行わなければならないという悩みがあった。予約手続きやチェックインなどに対応するために、操作画面を何度も切り替える必要があるなど、操作面で使い勝手の悪さも感じていたという。
新システムの検討にあたっては、名鉄本社のIT推進室が主導した。富士通マーケティング(FJM)の「GLOVIA smart ホテル SaaSサービス」のほかに、名鉄系のITベンダーのスクラッチ開発が選択肢として挙がっていたが、SaaSで初期投資額が低く抑えられることや解約が容易であること、カスタマイズがほとんど必要ないことなどが「GLOVIA」を採用する決め手となった。
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名鉄小牧ホテル 鈴木敦志課長 |
新システムは2010年8月に稼働を開始し、2か月間の旧システム並行期間を設けた。「GLOVIA」の利用に必要だったのは既存のネット環境を利用してPCを設置し、既存のPBXと課金システムを接続することのみだったので、作業は1日で完了した。
鈴木課長から「GLOVIA」に対する不満の声は聞こえてこない。「SaaSは常駐のシステムエンジニアが不要なので、人件費がかからない。24時間365日コールセンターに頼れるし、問い合わせには真摯に対応してくれている。利用し始めてから1か月くらいで質問することがなくなった」。FJMの渥美直幸・ソリューション事業本部GLOVIAビジネス統括部業種ソリューション部プロジェクト部長は「電話サポートの対応が当社の強み」と胸を張る。パッチ処理は数分で済み、深夜に行うことも可能になった。
営業戦略という観点からみても、「GLOVIA」は大きな力を発揮している。前年同日や数か月前の管理帳票を随時出力することで、旅行代理店や得意先の過去の実績を確認し、時期に応じて営業リソースを重点的に振り分けられるようになった。
フロント担当者の生産性向上に一役買っている点は見逃せない。画面操作はほとんど1画面で即座に対応できるようになった。「一部の従業員に偏ることなく、フロント担当者全員がシステムを操作するようになったことで、業務に余裕ができた。現在は、新システムを活用して顧客情報などの共有に役立てている」(鈴木課長)。リピーターの宿泊客は、予約時に名前欄が特別の色で示されるようになっている。前回の宿泊時に希望していた点やアンケート内容を入力しておけば、固定客になってもらうために最適なサービスを提供するのに役立てることができる。月額費用は7万円前後だという。(信澤健太)
3つのpoint
・管理帳票を随時出力し、営業戦略を立案
・簡単操作で業務の生産性を向上
・SaaSで初期費用を抑え、利用期間に柔軟に対応