シネックスインフォテック(シネックスインフォ、ロバート・ファン社長)は、6月14日、「変革の新世紀」をテーマに、同社が取扱うベンダーの新製品やソリューションを紹介するイベント「SYNNEX IT Conference 2011 TOKYO」を東京都内のホテルで開催した。招待客に限定した基調講演には、シネックスインフォのファン社長のほか、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の小出伸一社長、日本マイクロソフトのマイケル・ダイクス業務執行役員が登壇した。「このようなイベントは初めての試み」(シネックスインフォ担当者)だという。(取材・文/信澤健太)
変革を目指して
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| シネックスインフォテックのロバート・ファン社長。「新しいディストリビュータへの変革」と題して講演 |
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| 震災への支援策や災害・節電対策ソリューション、クラウド戦略などについて説明した日本ヒューレット・パッカードの小出伸一社長 |
「SYNNEX IT Conference 2011 TOKYO」の展示会場では、40を数えるベンダーがそれぞれブースを設け、新製品やソリューションを紹介。隣接する会場で、ベンダーの担当者が直接最新商材をアピールするセミナーが開催された。東日本大震災の影響を受けてか、省電力性や事業継続性などを意識したベンダーの訴求が目立った。
招待客に限定した基調講演では、米シネックスグループの創業者で前会長兼CEOであるシネックスインフォのロバート・ファン社長が、「新しいディストリビュータへの変革」と題して講演した。開口一番、「日本経済の停滞が続いている。私がシネックスインフォを立て直せば、一つの成功モデルになる」と述べ、30年以上におよぶIT流通業界での経験に確固たる自信をのぞかせた。
シネックスインフォの武器として、シネックスグループが展開するビジネス・プロセス・アウトソーシングやロジスティクス・サービス、オンラインサービスなど、多彩なサービスを挙げた。
事業強化に向けた基本方針として、「物流については、絶対にアウトソーシングは行わない」と断言した。物流関連コストの削減や業務効率の大幅な改善などで利益を創出する姿勢を示し、そのために必要なキーワードとして、Visibility(可視性)、Velocity(速度)、Value(価値)の追求を掲げた。
パートナービジネスを深耕
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| 災害対策に関連する自社製品やパートナー向け販促支援プログラムなど語った日本マイクロソフトのマイケル・ダイクス業務執行役員 |
続いて登壇した日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の小出伸一社長は、世界と日本でのHPのビジネス状況や震災への支援策、災害・節電対策ソリューション、クラウド戦略などについて説明。省電力性にすぐれた同社製品や米3Com、米3PARの買収などで充実した製品ラインアップをアピールした。
シネックスグループとは、米本社との間で年間3000億円以上の取引があることを明かした。加えて各製品カテゴリごとに、シネックスグループが総勢30人以上のHP専任バイヤー・販促担当者を配置していることを紹介した。日本での取引については、1992年にコンパックと関東電子がパートナー契約を結び、2004年には日本HPと丸紅インフォテックがディストリビュータ契約を締結していたことを案内。PCやサーバー、プリンターを中心に全国規模で販売してきたこれまでの経緯を説明した。
最後に、日本マイクロソフトのマイケル・ダイクス業務執行役員SMBディストリビューション営業本部統括本部長が「頑張ろう、日本!Partnerと一緒に日本を元気に!!」のテーマで、国内の中堅・中小企業(SMB)市場には大きな商機が眠っていることのほか、災害対策に関連する同社製品やパートナー向け販促支援プログラムなどを語った。またビデオを活用し、同社製品を導入することで実現する在宅勤務などの具体的な利用シーンを示した。
シネックスインフォテック
誕生の経緯 米シネックスグループの日本市場への参入は、1995年にまで遡る。同年4月に関係会社としてシネックスを設立。電子機器や関連製品・材料の輸入、販売を開始した。ただ、その10年後にMCJに株式を譲渡。現在のシネックスはMCJ傘下にある。
「日本のIT流通市場は新規参入が難しい。当時シネックスの年商は240億~250億円だったが、これ以上の伸びは見込めないと判断して売却した」(シネックスインフォのロバート・ファン社長)。
シネックスインフォは、昨年12月、丸紅が保有する丸紅インフォテック株式のすべてをシネックスグループに譲渡したことで、商号を変更して誕生した。社長には、シネックスグループの創業者で前会長兼CEOのロバート・ファン氏が就任した。
ファン社長は、「ファーストステップとして、年商2000億円を目指す」という考えを示した。

昨年12月1日付で企業ロゴを一新