ハイソフトジャパン(小早川泰彦社長)は、組み込みソフト事業の拡大に確かな手応えを得ている。日系メーカーが中国巨大市場への参入を加速させるなかで、「組み込みソフトを日本で開発する従来方式では、中国市場の成長スピードに追いつけない」(小早川社長)ケースが増えているからだ。中国有力SIerのハイソフト(海輝軟件)の日本法人であるハイソフトジャパンは、日系メーカーへの売り込みを強化しており、組み込みソフト開発が日本向けビジネスの主力事業の一つに育ちつつある。
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| 小早川泰彦社長 |
日系メーカー向けの組み込みソフト開発は、日本の情報サービス業の“お家芸”だったが、いま、この領域に中国の有力SIerが食い込もうとしている。急成長する中国市場を味方につけて有利な営業を展開する一方、組み込みソフトを得意としている日系SIerのグローバル対応が遅れ気味であることなどが、ハイソフトグループにとってプラスに働く。また、スマートデバイス向けのAndroid OSに代表されるオープン化が進み、組み込みソフト開発の参入障壁が低くなっていることも有利な点として挙げられる。
ハイソフトグループは、中国市場への進出を拡大させる日系メーカー向けに、まずは「中国市場のニーズに即応できるよう、当社の中国にある開発センターの活用を提案する」(小早川社長)という戦略をとり、中国のユーザーに近い場所で組み込みソフトの開発やローカライズを手がけることのメリットを訴求する。5~6年前までは、ほぼゼロだった日本向け売上高に占める組み込みソフト開発の比率を、今年上半期(2011年1~6月期)には30%程度にまで高めてきた。
中国での組み込みソフト開発で成功するポイントは“プロセス化”にある。メーカーに常駐して、開発だけを請け負う“客先常駐型”ではなく、「開発→検証→ローカライズといった組み込みソフトの全プロセスをカバーする」(小早川社長)ような開発体制を中国で整えてきた。さらに、販売台数が急増するAndroid OS搭載機向けでは、開発→検証→ローカライズに、もう一つ“サステイニング”プロセスを加える。
サステイニングとは、Android OSのバージョンが上がっても、機器特有の機能を維持するサービスのことで、「Android機には欠かせないサービス」(中国ハイソフトの申友柱・第三開発部長)とみる。
日本の電機メーカーのAndroid機では、OSのバージョンアップによって機器固有の機能が失われるケースが相次いでいる。最新OSが使えない、もしくは最新OSと引き替えに差異化のポイントであるはずの機器固有の機能が犠牲になるようでは、顧客満足度は高まらない。ハイソフトジャパンでは、早いタイミングでのサステイニングサービスセンターの開設を検討しており、組み込みソフト事業の拡大に一層の弾みをつける考えだ。(安藤章司)