コニカミノルタグループで、複合機(MFP)などの製造・販売を手がけるコニカミノルタビジネステクノロジーズ(KMBT、山名昌衛社長)。アダプティブ・プランニングのクラウド型の予算編成・帳票ソフトウェア「Adaptive Planning」の導入を決めた。需要予測の精度を向上させるべく、PSI(生産・販売・在庫)管理の高度化を進めている。
コニカミノルタビジネステクノロジーズ
会社概要:2003年設立。コニカミノルタグループで、情報機器事業を担う。複合機(MFP)やプリンタ、印刷用機器、関連する消耗品などの製造・販売を手がける。連結従業員数は約2万7000人(2010年12月現在)。
サービス提供会社:伊藤忠エレクトロニクス
プロダクト名:アダプティブ・プランニング「Adaptive Planning」
「Adaptive Planning」を活用したシステムの概要

コニカミノルタビジネステクノロジーズの岩佐章弘グループリーダー(左)と児島康仁係長
コニカミノルタビジネステクノロジーズ(KMBT)は、コニカミノルタグループの情報機器事業の中核会社として、複合機(MFP)などの製造・販売をミッションとしている。国内外に販売会社と生産拠点を設けており、国内のみならず、米国や欧州などでもMFPを販売している。
KMBTの児島康仁・経営管理部経営管理グループ係長は、「本来であれば、販売会社の販売計画と当社の出荷計画、生産拠点の生産計画はそれぞれが連動している必要がある。だが、予算編成のスケジュールが非常にタイトであるため、販売会社は独自の販売計画をつくるし、当社としては、『販売会社はたぶんこれくらい売るだろう』という想定のもとで出荷するようにしていた」と実情を明かす。
結果として、販売計画に出荷が連動しない不都合が生じており、PSI管理の高度化が求められていた。部署によっては、「Microsoft Excel」を駆使していたが、データ量や機種数が多いので、ミスが生じやすかった。
そんななか、朗報となったのが米国に本社を置くアダプティブ・プランニングのクラウド型の予算編成・帳票ソフトウェア「Adaptive Planning」の存在だった。国内市場に参入して間もないが、すでに80か国以上で1000社を超える納入実績をもつ。
「Adaptive Planning」は、データ合算のルールを内部に保持して、集約された数字をリアルタイムで確認できるほか、ユーザー・製品別に売り上げを切り分けて表示したり、前回見直し値や異なる為替レートなどを設定したシミュレーションとの比較をしたりできるのが特徴となっている。KMBTの岩佐章弘・経営管理部経営管理グループグループリーダーは、「もともと、米国の販売会社が主に経費の集約に『Adaptive Planning』を使っていた」と話す。
2010年7月頃に紹介を受けて導入の検討を開始し、同年10月に要件定義と機能定義を完了。同年11月、詳細設計に取りかかった。児島係長は、「要件を固めるのに1か月から2か月くらいかけた。実装は1か月くらいで、短い期間で済んだのがよかった」と、販売・導入支援を手がけた伊藤忠エレクトロニクスを評価する。プロジェクト全体の予算は、1年間のライセンス費用や導入支援サービスを含めて、1000万円ほどに収まった。
年明け早々に取り組む基本予算の策定までに稼働させる必要があったので、まずはできる部分から「Adaptive Planning」を適用している。具体的には、KMBTが売り上げ要素として分類する本体・オプションと消耗品・資材のうち、「フェーズ1」として本体・オプションのPSI管理だけを進めた。「フェーズ2」と位置づける消耗品・資材への適用は検証段階にあるという。
児島係長は導入効果について、「機種別製品の出荷ロジックが明確になった。つまり、これだけ売って、これだけが在庫になるから、これだけ仕入れる必要があるということがわかるようになった」と説明する。また、数字の手入力が自動入力に切り替わり、予算編成のリードタイムが短縮できた。
今後、取りかかろうとしているのが、欧州統括会社であるKonica Minolta Business Solutions Europeの先にある欧州各国の販売会社(非連結会社を含めて27社)を対象とするPSI管理の一元化、つまり「フェーズ3」である。(信澤健太)
3つのpoint
・短期間でのシステム実装
・予算・実績の管理の効率化
・PSI管理の高度化