全国で料理教室を展開するABC Cooking Studio(横井啓之代表取締役CEO)は、ソフト開発ベンチャーであるMetaMoji(浮川和宣社長)の文字変換システム「mazec web client」を組み込んだ「iPad」を導入した。入会を希望するユーザーが登録する際の手続きを、この「iPad」で行っている。そのインターフェースとして、文字入力をスムーズにしているのが、「mazec web client」だ。
ABC Cooking Studio
会社概要:料理教室を展開するほか、家庭用雑貨などを販売する。料理教室は女性向け「ABC クッキングスタジオ」を中心に合計で115店舗、会員数は25万人(11年4月時点)。1987年設立で従業員は約3500人。
システム提供会社:MetaMoJi
サービス名:文字変換システム「mazec web client」
「mazec web client」で実現する業務システムの例
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| MetaMojiの浮川和宣社長 |
ABC Cooking Studioは、料理教室を展開する企業で、1985年に静岡県に1店舗目をオープンし、その後、徐々に店舗数を増やしてきて、今では全国に115店舗を構える。会員数は25万人(2011年4月時点)に及ぶ。会員数をさらに増やすことを意図して、ABC Cooking Studioが求めたのは、入会希望者がスムーズに会員登録の手続きをできる仕組みだった。誰でも簡単に短時間で情報を入力でき、そのデータを管理する端末と情報システムを探していた。MetaMojiと出会ったのは、そんなときだった。
MetaMojiは、ジャストシステムの創業者、浮川和宣氏が、同社を離れて09年に設立したソフト開発ベンチャーだ。「文字入力・変換を助ける」(浮川社長)ソフトを、ジャストシステム時代と同様に開発している。とくにタブレット端末やスマートフォンといったタッチ操作に対応するデバイス向けのソフト開発に力を注ぐ。主力アプリケーションソフト「7notes」は、画面上に指で文字を書くと、その情報をソフトが自動認識してテキストデータに置き換える。その高い認識精度が最大の特徴だ。iPhoneやiPad、Android搭載端末向けをそれぞれ用意し、最近では世界進出も果たした。「情報を入力することをいかに簡素化するかが、われわれのミッション」と、浮川社長は商品のコンセプトを説明する。
ABC Cooking Studioは、通常のパソコン、キーボードを使った入力ではユーザーに煩わしさを与えるとみて、iPadに着眼した。そのうえで、文字入力はソフトキーボードでは情報を入力しにくいと判断して、手書き入力でこなせる方法を探し、MetaMojiの「mazec web client」の採用を決めた。
「mazec web client」は、「7notes」と基本的な機能は同じで、アプリケーションやシステムに組み込めるカスタマイズソフトだ。ABC Cooking Studioは、入会情報登録・管理システムに「mazec web client」を組み込んだ。iPadによる手書き入力で、スムーズな情報入力ができるようにしたわけだ。ABC Cooking Studioの担当者は、「幅広いユーザーが、簡単に入会手続きできるソリューション」と、「mazec web client」を評価し、顧客満足度の向上に結びついていることを実感している。また、「実習時に、メニューや料理方法などを画像や文字を活用して見せられるのもメリット」という。
iPadに代表される直感的な操作が可能なタブレット端末を、小売店などの店舗で活用するユーザー企業が増えてきた。動画や画像を活用したプレゼンテーションで利用したり、専用アプリケーションを入れて商品の受発注端末として使ったりと、利用方法も多様化している。だが、情報の入力というタブレットが通常のキーボードよりも弱い部分を補うソリューションを組み込んだかたちで導入したケースは少ない。その意味でABC Cooking Studioの事例は、先進的といえる。浮川社長は、「企業で手書き入力のシステムを求める案件は増えてきた。タブレット端末が普及することで、ニーズはもっと強まるだろう」と自信をみせる。(木村剛士)

ABC Cooking Studioが展開する料理教室
3つのpoint
・文字変換の高い精度を保有していたこと
・短納期で導入できること
・iPadとの親和性が高いこと