関西電力の100%出資会社である関電システムソリューションズ(田村和豊社長)は、新データセンター(DC)の建設に伴い、クレオネットワークスのビジネスプロセス管理プラットフォーム「SmartStage BizPlatform」の導入を決めた。煩雑な作業が必要な入退室手続きを効率化することに加えて、ユーザー向けポータルサイトとの連携によるサービスの充実を目指している。
関電システムソリューションズ
会社概要:関西電力の100%出資会社。2004年10月、関電情報システムと関西テレコムテクノロジーの合併により関電システムソリューションズが発足。2007年7月、ケイ・スクエアと合併した。2010年度の売上高は345億円。
サービス提供会社:クレオネットワークス
サービス名:「SmartStage BizPlatform」
データセンターカスタマーポータルのシステム概要
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関電システムソリューションズ 大原正雄チーフマネジャー |
関電システムソリューションズは、兵庫県西宮市に本社を置く大手SIerだ。大阪市内に2か所のDCを構え、およそ130社1300ラックの利用実績をもつ。2012年初頭には、事業拡大のために第3DCをオープンする予定だ。
新DCは延べ床面積が1万2000m2で、サーバー室5フロア、最大1300ラックの設置が可能となる。外気活用による熱負荷の軽減やサーバー室ホットアイルの囲い込みといった空調設計のほか、太陽光の活用、レイアウトの最適化などによって、従来のDCと比較して、炭素ガス排出量を44%削減できるという。地震・火災対策やバックアップセンターとしての利用の増加を期待している。
来館者が既存DCの4~5倍になると見込んでいる新DCの建設に伴い、早急に解決すべき課題が浮上した。DC建屋への入館業務の効率化とユーザーの利便性の向上である。
現在運用しているDCでは入館の管理を紙ベースで行っており、手続きが煩雑。ユーザー企業にFAXやメールで事前に入館申請をしてもらい、確認の電話をしたり社内の関連部署に作業内容を報告したりしている。実際のところ、ユーザー企業がトラブル対応などで突発的に入館申請してくるケースも少なくない。
第1DCには、1日平均12~15人、移設工事の際には50人以上が来館する。新DCの竣工に伴い、ユーザーの来館が増加すれば、現在の人手では入館手続きに対応しきれなくなる恐れがあった。ユーザーからは、「入館申請の窓口がわかりにくい」「申請書の書式がよく変わる」などの意見が寄せられており、ユーザー満足度の観点からも入館手続きの改善が求められていた。
クレオネットワークスが提案したビジネスプロセス管理プラットフォーム「SmartStage Biz Platform」は、こうした課題を解決してくれる製品だった。ポータルサイトを個別にカスタマイズ開発し、各種申請や情報提供に活用できる。ポータルの入館申請フォームに入力した内容は、ユーザー別のプロジェクト内で管理。申請種類別にプロセスを分けて管理することもできる。
費用面では、データセンターを利用するユーザーが増えてもライセンス費用が変わらない利点がある。関電システムソリューションズの独自試算によると、同種の業務プロセス管理ツールを採用した場合と比べて、ランニングコストを30%程度抑えられるという成果が出ている。
関電システムソリューションズの大原正雄・技術サポート本部電算管理部運用管理グループチーフマネジャーは、「いくつかの製品を比較してみたところ、ランニングコストを最も効果的に抑制できることと、ユーザー側で容易に設定が変更できることが最終決定のポイントだった」と話す。マルチテナントで運営できることも評価した。
同社は、入館業務の効率化を手はじめに、ポータルで提供するサービスメニューの充実を図っていく方針を掲げている。「既存のユーザーに対し専用ページを設けて、工事の進捗やイベントなどのDCに関する情報を提供していく」(大原チーフマネジャー)。このほか、ユーザーの運用管理に利用してもらったり、パートナー企業が提供するデータセンターサービスに「SmartStage BizPlatform」を組み込むなど、一歩先を見据えた事業モデルも想定している。(信澤健太)
3つのpoint
・ランニングコストの抑制
・設定変更の容易さ
・マルチテナントでの運営