日本IBMグループのユーザー系システムインテグレータ(SIer)であるエクサ(塚本明人社長)は、このほどセキュリティメーカー・シマンテックのコンサルティングパートナーの上位認定資格「Masterスペシャリゼーション」を、2分野で新たに取得した。2012年、国内最多取得パートナーである立場を生かして、シマンテックとともに新しいビジネスの創出に取り組む。
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ソリューション統括本部 基盤第2ソリューション部 伊藤幸司部長 |
エクサとシマンテックは、新年に入って協業を強化する。これによって、「理想的なパートナーシップの具現化」(シマンテックの幹部)を目指す。
シマンテックは今、グローバルで、自社が築いてきた幅広い人脈と強い営業力をフル活用して顧客を開拓し、実装コンサルティングを含めた案件の獲得を販売パートナーに委任するという事業モデルへ舵を切っている。自社のリソースを顧客開拓に集中するとともに、パートナーの役割を拡大することによって、既存のリソースを増加せずに、より多くの企業に自社製品を納入することを狙いとしている。シマンテックはこの事業モデルを実現するために、コンサルティングに強い販社を必要としており、特定の分野で高度な実装コンサルティングのスキルをもつパートナーに授与する上位資格「Masterスペシャリゼーション」の制度を導入している。
エクサは、昨年末に「Archive and eDiscovery(アーカイブ)」に加えて、「Data Loss Prevention(情報損失防止)」と「Data Protection(データ保護)」の2分野で、新たに「Masterスペシャリゼーション」の資格を取得した。これにより、合計三つの分野で上位資格を取り、日本ではまだ数少ないコンサルタントパートナーの先駆者になったわけだ。エクサはこれを踏まえて、シマンテック製品の販売を拡大するだけでなく、「シマンテックとともに新しいビジネスを創出する」(ソリューション統括本部 基盤第2ソリューション部の伊藤幸司部長)ことを目指している。
伊藤部長は、(1)自社単独では面談するのに時間がかかるユーザー企業のキーマンを紹介してもらう、(2)シマンテックの製品に当社のSI力を加えることによって、ユーザー企業の課題を包括的に解決するソリューションを提供する──の二つを、シマンテックとの協業による事業展開の軸としている。つまり、シマンテックと組んで、セキュリティ事業だけでなく、SI事業も伸ばすという戦略だ。
エクサは、2010年度(2010年12月期)の売上高は269億円。内訳は、セキュリティを含む基盤ソリューション事業が約30%を占めており、そのうちの3割がシマンテック製品の販売が占めるという構成になっている。伊藤部長は、「当社は、向こう5年で、およそ300億円の売り上げを目標に掲げている。シマンテックとの協業を機動力として、300億円の達成に取り組んでいきたい」と意気込みを示している。(ゼンフ ミシャ)