その他
東証のシステム、またダウン システム障害の要因は「過信」!?
2012/03/08 14:53
週刊BCN 2012年03月05日vol.1422掲載
いったい何度目だろうか。証券取引所の株式売買システムがまた停止した。2月2日、東京証券取引所の241銘柄と、札幌証券取引所の全74銘柄の相場情報の配信がストップし、同日9時から12時29分まで売買ができなくなった。
東証は、システムトラブルの常連だ。2005年11月にはソフトの不具合で全上場銘柄の取引が停止したほか、06年にはライブドア事件が発覚して発生した大量の売り注文に処理が追いつかず、全銘柄で取引ができない事態を引き起こした。これ以外にも、何度かシステムダウンを起こしている。大規模なシステム障害の代名詞──世間は東証にそんな評価を下した。
今回のケースの原因を、東証は「過信」と説明している。システム障害は、相場情報を配信するゲートウェイサーバー8台のうち1台で、2月2日の午前1時27分にトラブルが発生し、予備機への切り替え処理が完了できなかったことに起因している。東証では、過去の経験を生かし、システムで使うサーバーは三重化し、障害診断ツールも導入していた。万が一の事態に備えた対策を施してはいたのだ。
ただ、その用意周到な準備が、今回は仇になった。東証は「システムの信頼性を過信していた」と説明している。十分に対策を施したシステムが止まるはずはないと信じ込み、常時行わなければならない稼働状況の監視を怠ったという。「深夜・早朝は、十分な監視体制が整備できていなかった」というのが東証の弁。
東証が公表した資料には、一連の経過が記されている。トラブル発生とほぼ同時に異常を示すメッセージが表示され、調査を行った保守ベンダーが売買に影響はないと誤認。それを真に受けた東証は「主体的にはシステムの状態を確認しなかった」(東証)。それが今回のトラブル拡大の原因だ。「システムへの過信」そして「保守ベンダーへの過信」が、今回のトラブルを引き起こした、というわけだ。
今回のトラブルに関する一連の資料に目を通したとき、IT産業の一端に身を置く立場の人間として、心中に複雑な思いが交錯した。確かに売買を止めた東証の責任は重い。重要インフラを運用しているという自覚が足りないといえば、そうだろう。ただ、もともとはコンピュータメーカーが開発したIT機器がもたらしたトラブルであり、ITベンダーの誤認がもたらしたトラブルでもある。東証に「IT業界を信じた自分がバカでした」といわれているような気持ちになる。
言葉には出さなくても、IT業界には「システムを24時間、365日安定稼働させることなどできない」という弁解の気持ちはあるかもしれないが、他の産業で、そのような言い訳が通用するだろうか。トラブルをゼロにすることはできないかもしれない。だが、問題発生から再開に11時間3分もの時間を費やしたことは、東証もIT業界も恥じるべきだと思う。(木村剛士)
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