IPテレフォニー関連製品メーカーの日本アバイア(ロバート・スチーブンソン社長)は、パソコンなどのIT機器のレンタルを事業とするオリックス・レンテック(太田敏晶社長)と提携した。オリックス・レンテックを通じて、日本アバイアのビデオコラボレーション製品「Avaya Flare Experience」をクラウド型サービスとして提供していく。日本アバイアは、これまで不得意だった中堅・中小企業(SMB)の市場開拓を狙う。
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日本アバイア ロバート・スチーブンソン社長 |
大手レンタル事業者であるオリックス・レンテックの国内での顧客ベースは、50万社にも及んでいる。内訳では中・小規模の企業が多い。日本アバイアとオリックス・レンテックは今年7月から、オリックス・レンテックのユーザー企業を対象に、電話やビデオなど複数のツールを統合する「Avaya Flare Experience」を、レンタル機器にプリインストールしたかたちで提案していく。日本アバイアはクラウドサービスのインフラ基盤を用意し、オリックス・レンテックはサービスの販売と運用を手がける。
日本アバイアとオリックス・レンテックの連携は、クラウド展開を目指したITベンダー・販社間の業務提携が相次ぐなかでも、異色の事例となる。まず、提携先のオリックス・レンテックがIT機器の販売店ではなく、レンタル事業者であることが挙げられる。オリックス・レンテックは、国内で17営業拠点、さらに韓国や中国をはじめ、海外にも10か所の営業拠点をもっており、広範囲にビジネス活動を展開している。同社はこれまで、主にWindows OSのパソコンをレンタル製品としてきたが、市場環境の変化を受け、iPadを中心とする新型端末やITサービスも取り扱い始めており、ポートフォリオの拡大を推進しているところだ。
日本アバイアがオリックス・レンテックをクラウドサービスの提供パートナーに選んだのは、オリックス・レンテックがサービス事業の拡大に注力していることと、SMBをはじめとする50万社の顧客を抱えている点に着目したからだ。オリックス・レンテックと提携し、「Avaya Flare Experience」のクラウド型展開でSMB市場を開拓する取り組みは、日本アバイアにとって「コールセンター(CC)向けのアプライアンス提供を柱とするこれまでのビジネスとは、まったく構成が異なる製品提供のモデルだ」(ロバート・スチーブンソン社長)と説明する。
さらに、日本アバイアとオリックス・レンテックの提携で特筆すべきは、クラウドサービスを国内で展開するだけでなく、オリックス・レンテックの幅広い販売網によって、アジアをはじめとする海外展開も可能になることだ。日本アバイアはオリックス・レンテックを重要パートナーとしてSMB・海外市場の開拓に注力し、2~3年後をめどに、ユニファイドコミュニケーション(UC)の売上規模をCC事業と同じ水準に引き上げる構えだ。(ゼンフ ミシャ)