内田洋行(柏原孝社長)が、クラウド対応のERP(統合基幹業務システム)「スーパーカクテルInnova」を発表し、中堅企業市場の攻略に本格参入した。アプリケーションの開発基盤にNTTデータビズインテグラルの「Biz∫APF」を採用しており、SOA(サービス指向アーキテクチャ)基盤によるシステム・データ連携をはじめ、多通貨・多言語、マルチテナントクラウドに対応する。
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内田洋行 江口英則執行役員 |
「スーパーカクテルシリーズ」は、年商50億円未満の中小企業向け販売管理システム市場で、最も高い支持を得ている製品(矢野経済研究所調べ)である。とくに、食品業や包装資材卸業に強い。累計で約3500社の納入実績をもつ。
一方で、「少し背伸びして、IT投資の余力がある年商100億円以上の企業に向けて販売してきた」(江口英則・執行役員情報事業本部情報システム事業部事業部長)という経緯もある。確実に“勝ちに行く”ために決めたのが、既存製品とは別に、中堅企業向けにフォーカスした製品を新たに開発することだった。
こうして打ち出した「スーパーカクテルInnova」は、多言語・多通貨、IFRS(国際財務報告基準)/内部統制、SOA、マルチテナントアーキテクチャでのクラウド提供に対応する。追加開発した機能はシステムの更新後にも転用できるので、手直し工数を削減できる。
開発基盤として採用した「Biz∫APF」は、NTTデータイントラマートが提供する「intra-mart」がベースになっている。「intra-mart」は、オープンソースソフトウェア(OSS)を採用し、Java EEフレームワークで用意されているワークフローやポータルなどのJava業務コンポーネントを組み合わせてウェブシステムを構築できるSOA/BPM基盤だ。
江口執行役員は、「まずは直接販売でノウハウを蓄積し、テンプレートの充実を図っていく」と話す。年商100億円以上の企業規模層は、オフィスコンピュータのユーザーが数多く存在する。こうしたユーザーに対して、「スーパーカクテルInnova」の潜在需要を掘り起こすことに商機があるとみている。ゆくゆくは、20~30社のパートナー獲得を目指す。
今後は、中堅企業向けERP「Biz∫」を提供しているNTTデータビズインテグラルのパートナーに対し、OEM(相手先ブランドによる製品供給)で「Biz∫販売」の機能強化テンプレートとして「スーパーカクテルInnova」を提供する方針だ。
目標は、初年度に5社の受注。すでに、「スーパーカクテル」の既存ユーザー1社から受注した。中堅企業市場は競合がひしめくが、「どの製品も一長一短。それに、スクラッチベースのシステムからの移行などを考えれば、マーケットは大きい」(江口執行役員)。特定の業種に強い特色を生かして、ユーザーの獲得を狙っている。(信澤健太)