システムサービス(佐藤隼夫代表取締役)は、エス・アンド・アイのUC(ユニファイドコミュニケーション)システム「uniConnect」を導入し、その機能の一つである「発信元番号表示」で顧客満足度の向上を実現した。iPhoneでのFMC(移動体通信と有線通信の融合サービス)を使うことによって従来のPHSを廃止し、コストを削減したほか、公私分計を明確化する機能によって以前から取り組んでいた「BYOD(私物端末の業務利用)」の強化に成功した。
システムサービス
会社概要:ぬいぐるみや雑貨の卸売り会社として1988年に設立。「たれぱんだ」や「リラックマ」などをはじめ、アミューズメント施設とタイアップしたキャラクター商品の販売を展開している。
プロダクト提供会社:エス・アンド・アイ
プロダクト名:「uniConnect」
システムサービスが導入した「uniConnnect」のシステム構成
システムサービスは、従来、社員が外出している時に会社の固定番号にかかってきた着信をPBXを経由してPHSに転送するかたちでFMCを導入していた。ただ、PHSに表示される番号は転送用特番で、電話をかけてきた相手先の番号は表示されないという問題があった。社員は、外出中の不在着信がどこからの電話か判断できず、折り返しの連絡ができない。そのため、顧客からは「お宅の担当者と電話がつながらない」との不満の声があがっていたという。経理・システム管理グループの海老原修司システム管理チームリーダーは、「結果的に顧客満足度の低下につながっていた」と振り返る。また、2010年にiPhoneを全社で導入。社員のITリテラシー向上と自己研鑽が目的だったが、社員がPHS、iPhone、私物の携帯電話と、3台を所有する状況にも陥っていた。
こうした問題を解決しようと考えていた海老原チームリーダーが注目したのは、エス・アンド・アイが提供する「uniConnect」だった。「uniConnect」は、社内外を問わずにスマートフォンからダイヤルイン番号で発着信ができるほか、発信元番号もスマートフォン上に表示される「発信元番号表示」を搭載している。顧客満足度の低下につながっていた「電話の取りこぼし」の問題を解決する糸口になる。PHSが担っていた役割をスマートフォンが果たすので、PHSとiPhoneが一本化できる──そう判断して導入を決め、今年春に本格稼働を開始した。
Wi-Fi環境を構築しなくて済む点も導入の決め手になった。他のベンダーが提供するUCシステムの多くはWi-Fi環境を利用しているが、システムサービスはセキュリティポリシー上、社内にWi-Fi環境を構築していない。3G回線を利用する「uniConnect」ならば、Wi-Fi環境を構築することなく利用できたというわけだ。
また、「BYOD」の公私分計にもつながったという。システムサービスでは、iPhoneを導入した際に社員がキャリアショップなどで個人契約し、基本料と基本パケット料を会社が負担するという形態をとっていた。私物端末の業務利用を解禁したわけではないが、早くから「BYOD」を取り入れていたことになる。しかし、個人契約だったことから、仕事の電話をiPhoneからかけた際の通話料を精算して会社に申請する手間が生じていた。
この問題も、ダイヤラーを使い分けることでプライベート利用での通話料とビジネス利用での通話料を分けることができる「uniConnect」の導入で解決した。しかも、ソフトバンクモバイルが提供する「ホワイトライン24」の適用で、社員とオフィス間、社員間の通話料を定額化することで、別途通信料が発生することがなくなり、コスト削減にもつながった。
さらに、いつでもどこでも電話を受けられることで懸念される残業の増加についても、休暇中や業務時間外にかかってきた着信をボイスメールに切り替えることや、部門代表番号に転送することができるようになった。管理者に設定作業を依頼する必要はなく、ダイヤラー上の設定画面で各社員が設定できる。転送先設定は、海外出張時など、高額な通信料が請求される国際ローミングでも有効だ。
モバイル端末システムのコスト削減に加えて、顧客満足度の向上と、公私分計という明確なBYODを実現したシステムサービス。ワークスタイルの変革によって、社員一人ひとりがトレンドを先読みするスキルをさらに高め、新しい商品の創造につなげようとしている。(佐相彰彦)
3つのpoint
・携帯電話の料金コストを削減
・「電話の取りこぼし」をなくす
・明確な「BYOD」の実現