ラネクシー
第1ソフトウェア事業本部
営業部営業1Gグループマネージャー
尾形嘉昭
ユーザーの実態
レンタルサーバー事業者がメンテナンス中に顧客データを消失してしまう事故が起きたのは、記憶に新しいところだ。企業のバックアップの実施状況について独自に調査したところ、90%弱がファイルバックアップを実行していることがわかった。これに加えて、復旧までの時間と工数を削減するためにイメージバックアップを実施している企業も多い。
情報系システムは、基幹系システムと比べてクラウドへの移行が進んでいる。全体で、20~30%の企業がクラウドへの移行を完了している。しかし、クラウドに移行したシステムのバックアップ状況に関しては結構お寒い状況にあることがわかる。従業員1000人未満の中堅・中小企業(SMB)では、「クラウドでのバックアップは取っていない」「事業者に任せている」という回答が40%近くを占めた。バックアップにさほど注意を払わず、事業者の運用管理に任せきりというのが実態で、いつデータが消失してもおかしくない状況がみてとれる。一方、従業員1000人以上の大企業は、何らかのかたちでバックアップを取っている。
浮かび上がる課題
企業規模が小さくなるほど、クラウドに対する認識が誤っている可能性がある。クラウドのメリットとして一番多く挙がったのは「ITコストの削減」で、次いで「事業継続性の向上(災害・障害対策)」となっている。注目すべきは4位にランクインした「データの保護」だ。クラウド環境であれば、それだけでデータの保護につながり、データが消えるはずがないと考えられているのかもしれない。
一方で、データセンター(DC)での大規模なデータ消失事故を受けてかどうかは不明だが、60%程度がクラウドでもバックアップが必要だと感じているという数字も現れている。さらに30%程度は「自社にも当てはまる事故である。クラウド移行は慎重にならざるをえない」とみている。
システム、データともに、ローカルサイトにしか置かないという企業は20~30%を占めている。DCを利用する企業が増えているとはいえ、比率はそれほど高くなく、半数程度の企業がデータのみのバックアップにとどまる。当社(ラネクシー)のユーザーに顕著な傾向かもしれないが、自社の拠点を利用してデータを二重化するケースが非常に多い。
見逃したらソン!最新データ
▼IDC Japan調べ
『国内ITサービス市場予測』
国内ITサービス市場は、開発案件の増加を背景に2012年は4年ぶりのプラス成長に転じる。産業分野別では、製造業・通信業で成長の一方、金融業の回復が遅れる。欧州債務危機、新興国経済の成長鈍化、消費増税などの影響で、2016年までの成長率は1%台となる見込み。
▼ノークリサーチ調べ
『中堅・中小企業の業務システム購入先のサービスサポート評価調査報告』
大塚商会がシェアを伸ばし、主要な業務システム購入先で首位を堅持した。「提案から保守までの一貫性」の観点で提案/販売時でのSEと営業の情報共有、「業種/業態に固有の対応」での営業/SEのスキル向上とテンプレート充実などが重要となっている。