ノークリサーチ(伊嶋謙二社長)は、年商500億円未満の国内中堅・中小企業(SMB)における基幹業務向けクラウドサービスの活用実態の調査結果を発表した。

 会計、人事/給与、販売/購買、生産、帳票、ビジネスインテリジェンスなどの基幹業務の分野で、「導入/利用をしている」または「導入/利用を予定している」クラウドサービスをたずねた結果、最も多く挙がった「基幹業務SaaS by 奉行iシリーズ」でも導入率が3.5%にとどまっていることがわかった。「基幹業務の分野ではクラウドを活用しない」という回答割合は79.0%に達し、「コラボレーションや顧客管理の分野ではクラウドを活用しない」の66.2%よりも高かった。

導入済み/導入予定の「基幹業務」のクラウドサービス(いくつでも)


 「基幹業務」のクラウドサービスにおける導入効果をたずねたところ、「ハードウェアの維持費用を削減できる」「ソフトウェアの維持費用を削減できる」の2項目が30%超と最も多く挙がり、「ネットワークの維持費用を削減できる」「運用管理の人的作業負担を軽減できる」「システムを素早く構築できる」「セキュリティを強化することができる」といった4項目が続いた。

 基幹業務システムでは個別カスタマイズが加わることも多いので、マルチテナント型のクラウドサービス(その多くはSaaS)ではカバーすることが難しい。そこで、IaaSあるいはホスティング/ハウジングに近い形態を採用することで、アプリケーション層に極力手を加えることなく、ハードウェア、ネットワーク、運用管理の人的作業などのコスト削減を実現するという手段を選んでいる、とノークリサーチではみている。

 「導入/利用の予定がある」と「すでに導入/利用をしている」を比較すると、「システムを素早く構築できる」や「セキュリティを強化できる」は後者のほうが高い値を示した。つまりハードウェア、ネットワーク、運用管理の人的作業などにおけるコスト削減を目的としてクラウドサービスを導入したが、システム構築の迅速性やセキュリティの強化など、当初は考慮していなかった導入効果も得られているケースがあったとみる。

最も重要な「基幹業務」のクラウドサービスに期待する導入効果(いくつでも)

 「『基幹業務』のクラウドサービスを導入/利用している」あるいは「導入/利用を予定/検討している」ユーザー企業に対して、「基幹業務」のクラウドサービスの課題をたずねたところ、「運用管理の人的作業負担が減らない」「十分なコスト削減効果が得られない」「利用中のアプリケーションを変えたくない」「クラウド移行を主導する社内人材がいない」といった項目が多く挙がった。ノークリサーチでは、「既存アプリケーションを維持することで影響を最小限に抑えつつ、クラウド移行をすることによってコスト削減効果を得たいが、それを主導する社内人材がおらず、期待した効果も得ることができていない」というのが基幹業務のクラウド活用における課題だと分析する。

最も重要な「基幹業務」のクラウドサービスにおける課題(いくつでも)

 「『基幹業務』のクラウドサービスを利用しない」という回答に対してその理由をたずねた結果、「クラウドによってもたらされるメリットはいずれも必要性がない」が最も多く、そこから15ポイント程度の差で「十分なコスト削減効果が得られない」が続いた。そのほか、「初期投資の負担が大きい」「クラウド移行作業にかかる費用負担が大きい」「社外にデータを置くことが不安である」「利用中のアプリケーションを変えたくない」などが多く挙がった。

 ノークリサーチは、クラウド移行に際しての費用を抑える工夫(既存パッケージのアウトソース活用など)に加えて、クラウド活用の可否を判断する上流工程での支援が重要だと指摘する。ITソリューションを提供する側には、DCと自社をVPNで接続するなど、ネットワーク関連ソリューションを基幹業務のクラウドサービスとあわせて提供できる体制が求められるとしている。(信澤健太)