ソフト開発ベンダーのリンコムは、主力商材の企業間グループウェア「リンコム ネクスト」クラウド/SaaS版のインフラとして、NECビッグローブが運営するパブリッククラウドサービス「BIGLOBEクラウドホスティング」を採用した。選定にあたっては、AWS(Amazon Web Services)やニフティクラウド、IIJ GIOなどを比較検討。最終的には、BIGLOBEクラウドホスティングの仮想サーバー単位でのカスタマイズの柔軟性や価格体系、技術・営業面での協力姿勢などが採用の決め手となった。
ユーザー企業:リンコム
1997に設立。企業間グループウェア「リンコム ネクスト」や、社内ソーシャルメディア「智泉」など、独創性豊かな情報共有システムの開発を得意とするソフト開発ベンダーである。
サービス提供会社:NECビッグローブ
サービス名:パブリッククラウドサービス「BIGLOBEクラウドホスティング」
【課題】組織を越えての情報共有
リンコムが開発する企業間グループウェア「リンコム ネクスト」は、協力会社やフランチャイズ店などの企業対企業、あるいは異なる組織同士が使うことを前提に開発された情報共有システムだ。通常のグループウェアは、社内やグループ会社内を主な利用対象に想定しているケースが多いが、「リンコム ネクスト」は、企業の壁を越えて利用できることが、他社のサービスと大きく異なる。
ライセンス料金の体系は、ユーザー単位ではなく、サーバー単位での課金を採用。サーバーを増設しない限り、ユーザーの増減によってライセンス料金が変わることはない。リンコムの西内暢宏・マーケティング部長代理は、「プロジェクトによって組むビジネスパートナーが変わったり、フランチャイズ店でアルバイト店員が増減してもライセンス契約の変更なしに対応できることなどが、ユーザー企業から高く評価されている」と説明する。
「リンコム ネクスト」は1997年に製品化し、これまで1000社余りのユーザーを獲得してきたものの、近年になっての課題は、やはりクラウド/SaaSへの対応であった。グループウェアをはじめとするフロントエンド系のシステムは、セールスフォース・ドットコムに代表されるように、いち早くクラウドへの対応が進行。さらに、一部の先進的なユーザーが、AWSなどのパブリッククラウドへ、自ら「リンコム ネクスト」を移し替えて、自家製のクラウド/SaaS環境を構築する動きまでみられるようになった。こうした動きを踏まえ、リンコムでは「企業間グループウェアの特性にあったクラウド/SaaS基盤を選定する」(野村剛志取締役)ことに踏み切った。
左からリンコムの西内暢宏部長代理、野村剛志取締役、NECビッグローブの中務貴之主任、リンコムの長内章シニアマネージャー【決断と効果】自社に合ったクラウドを選定
クラウド/SaaS基盤の選定に当たっては、AWSやBIGLOBEクラウドホスティング、ニフティクラウド、IIJ GIOなどが候補に挙がった。選定のポイントになったのは、サーバー単位の課金であること、カスタマイズがしやすいこと、月額料金がある程度固定的であることだ。本来、クラウド基盤は、使ったITリソースの分だけ料金を支払うのが基本だが、「リンコム ネクスト」の特性上、「プライベートクラウドのように使える仮想サーバーを重視した」(長内章・営業部シニアマネージャー)と、自由度の高さを選定基準とした。
この結果、仮想サーバー単位でカスタマイズしやすく、ネットワーク料金が固定的であるBIGLOBEクラウドホスティングの採用を決断。運営元のNECビッグローブとは、以前にも案件ベースで協業したことがあり、また、「技術支援や共同マーケティングなどを、BIGLOBEクラウドホスティングを活用するビジネスパートナーとともに積極的に展開している」(NECビッグローブの中務貴之・ネットサービス事業部主任)という、国内ベンダーらしいきめ細かなサポート姿勢もプラスに働いた。
BIGLOBEクラウドホスティング上で稼働する「リンコム ネクスト」は2011年1月に正式サービスをスタート。従来のオンプレミス(客先設置)版とクラウド版を選べるようにしたところ「今年に入ってクラウド版を選ぶユーザーが明らかに増えている」(野村取締役)と手応えを感じている。リンコムは11月15日からサービスを始める新サービスの社内ソーシャルメディア「智泉」でもBIGLOBEクラウドホスティングを活用するなど、NECビッグローブとの協業ビジネスを進めていく方針だ。(安藤章司)
3つのpoint
サーバー単位の課金体系で利用しやすい
カスタマイズや個別設定にも柔軟に対応
技術や営業面での協業の取り組みに積極的