富士通とNECが2012年度(13年3月期)上期の連結業績を発表した。NECは、人員削減の完了を成果につなげて増収増益を達成。富士通は、欧州向け事業の落ち込みとデバイス事業の悪化で減収となり、利益の面では携帯電話の販売増やクラウドなどサービスの提供拡大で営業利益と経常利益が増加。最終利益は赤字に転落した。事業領域が似ている両社に業績の差が出てはいるが、主力事業に関しては両社とも国内を中心に伸びている。主力事業を拡大するうえでは、いかに国内市場での案件を増やすかがポイントになる。
NECの今年度上期連結業績は、売上高が1兆4478億円(前年同期比0.3%増)、営業利益が前年同期の約7倍となる474億円、経常損益が299億円の黒字(前年同期は104億円の赤字)、最終損益80億円の黒字(110億円の赤字)と増収増益だった。
同社は、昨年度第3四半期の決算会見で、2012年度に1万人の人員削減計画を発表し、その人員削減は今上期で完了した。遠藤信博社長は、「営業利益を130億円押し上げる構造改革効果をもたらした」と説明し、営業利益の改善で経常損益と最終損益が黒字へと転換したことをアピールした。売上高については、「鴻海精密工業に液晶関連の特許を約95億円で売却した」ということなどが増加につながったとしている。
一方、富士通の連結業績は、売上高が2兆718億円(1.0%減)、営業利益が76億円(9.1%増)、経常損益が29億円の黒字(20億円の赤字)、最終損益は110億円の赤字(57億円の黒字)という減収減益の結果だった。
業績悪化に最も影響したのが、欧州を中心とした海外ビジネスの落ち込みだ。加藤和彦・取締役執行役員専務は、「とくにドイツでのビジネスが非常に厳しく、約1000億円の売上減となってしまった」という。ただ、国内では大型案件が増え、「金融以外の業界で好調だった」としており、それが営業利益の増加につながった。最終損益が赤字に転落した理由については、「前年同期に欧州子会社の清算やグループ再編による株式譲渡に伴う増益効果があったが、今四半期は、それがなかった。第1四半期に237億円の赤字になったことが響いている」としている。
NECが人員削減を実施した一方で、富士通は人員を維持した。富士通の海外比率がNECよりも高いことが業績の違いに現れたわけだが、両社が主力に据える事業については、どのような状況なのか。
NECは、SI・サービスを中心とする「ITソリューション」が売上高5783億円(7.8%増)、営業利益が前年同期の28倍以上となる228億円。ネットワーク関連の「キャリアネットワーク」が売上高3120億円(10.1%増)、営業利益で約1.8倍となる270億円。通信、製造、流通など国内で案件を手堅く獲得したことが好業績の要因となった。
富士通は、SI・サービス、ネットワークの「テクノロジーソリューション」が売上高1兆3404億円(3.2%減)と下がったものの、営業利益373億円(24.5%)と2ケタ成長。売上減は、システムプラットフォームが海外で伸び悩んだことが原因だ。ただ、これら事業のうち、同社が最も得意とするSI/ソリューションの売上高は3807億円(1.2%増)と増えている。加藤専務は、「ソリューション/SIは、公共・民需ともに受注が好調で回復基調にある」と説明している。
今年度上期は、全社的な取り組みや方針の違いなどから明暗が分かれた。しかし、富士通が売上減だったといえ、両社とも主力事業については堅調とみることができる。しかも、主力事業が堅調なのは、国内で案件を獲得していることが要因だ。「欧州は厳しい状況が続く一方、国内は今後も案件獲得が期待できる」(富士通の加藤専務)としていることから、海外事業の拡大を見据えながらも、当面は主力事業をベースに国内需要を掘り起こすことが重要と考えていることがわかる。国内需要の掘り起こしには、国内販社とのパートナーシップ深耕がカギを握ることになる。(佐相彰彦)