国内の大手IT総合メーカーが、2011年度(2012年3月期)第3四半期の連結決算を発表するとともに、通期連結業績見通しを発表した。多くが下方修正し、第4四半期という“足元”をみながら、来年度に成長するための準備を整えようとしている。そのなかで、目立つのが富士通とNEC。富士通は人員を維持して改善策を見出そうとする一方、NECは1万人の人員削減という道を選んだ。果たして、正しいのはどちらなのか。
富士通の第3四半期決算は、売上高が1兆797億円(前年同月比1.5%減)と減収、営業利益は31億円(85.0%減)、経常利益は43億円(77.4%減)と大幅に減少した。これに伴って、最終損益は43億円の赤字(前年同期は165億円の赤字)に転落。山本正已社長は、「タイの洪水など、さまざまなことが起こり、非常に残念な結果となった」とコメント。第3四半期の業績を受けて、通期見通しを下方修正する結果になった。山本社長は、「まことに遺憾」と胸の内を明かす。
NECも、売上高が6690億円(前年同期比7.2%減)と減収、営業損益が82億円の赤字(前年同期は135億円の赤字)、経常損益が116億円の赤字(270億円の赤字)と赤字幅を圧縮した。しかし、繰延税金資産の見直しに伴って最終損益は、865億円の赤字(265億円の赤字)と、赤字幅が広がった。
両社とも、第3四半期の結果を踏まえて通期業績見通しを下方修正したうえで、来年度に向けた方向性も示した。とくに、差が現れたのは人員体制だ。富士通は、「エンジニアなど社員を減らすことは全く考えていない。実は、案件を獲得したくても、人員が足りずに獲得できなかったケースもある。業績が厳しい状況なのは、人員を最適配置していなかったことが最大の原因。早急に最適な人員配置を実施することで、案件を増やして売上拡大につなげていく」(山本社長)との方針を示した。
一方、NECは、来年度上期までにグループ会社を含めて1万人規模の人員を削減すると発表。これは、12年度までに売上高4兆円、営業利益率5%の目標を掲げていたが、「今の実力では不可能」(遠藤信博社長)との判断からだ。現状の3兆1000億円の売上規模で、営業利益率5%を目指す方針に転換したわけだ。
業績が悪化しているなかで、最適配置によって人員を維持しようという経営判断は、案件数が増えれば売上増につながるが、案件が獲得できなければ過剰人員でコスト増に陥るという自明の方程式が成り立つ。一方、人員削減は、人件費を中心にコストを削減して利益率を高める効果をもたらすが、富士通の山本社長がいうように、リソース不足による案件獲得数の減少につながる危険性を孕んでいる。
どちらの決断が正しいのかは、両社の具体的な構造改革案にかかってくる。ただ、この第3四半期の業績が、タイの洪水という突発的な自然災害が大きく影響したことを踏まえると、目先の利益確保を優先するより将来を見据えて規模拡大を優先する機運のほうが高まっているようにみえる。(佐相彰彦)