ピー・シー・エー(PCA、水谷学社長)は、11月9日、「PCA戦略フォーラム 2013」を都内のホテルで開催した。クラウドサービスである「PCAクラウド」とメディカルビジネスを前面に押し出したセッションを設け、パートナー企業に対して新たな商機を訴えた。(取材・文/信澤健太)
パートナーの連携による価値創造を強調
PCAは、「PCA戦略フォーラム」で顧客企業のニーズに合わせた機能や帳票などをカスタマイズできる「PCAクラウドAPI」について説明するセッションとして、「PCAクラウドAPIの概要」「PCAクラウドAPIビジネス戦略」を用意した。このほか、中期的なクラウド戦略を示す「PCAクラウドビジョン」、力を入れる姿勢を強めているメディカルビジネスを紹介する「PCAメディカルビジネスの最新動向と導入事例」があり、クラウドとメディカルビジネスに対するPCAの意気込みが伝わる内容となった。
クラウドサービスの名称を「PCA for SaaS」から「PCAクラウド」に変更したのが、2012年10月。これを機に、新たに「PCA Xシリーズ」としてサービスの提供を開始した。ユーザーが利用中のサーバーの月間稼働率が99.95%に満たなかった場合、当月分の月額利用料金の10%に相当する金額を減額または返金するSLA(サービス品質保証制度)を設けた。月間で24時間以上停止する場合には、1か月分の月額利用料を減額または返金する。
2008年にクラウド事業を開始して以来、4年目の12年8月に47都道府県でユーザーを獲得し、その翌月に1500社を突破。今回、イニシャルゼロプランが好評で、累計プラン別申込数のうち73.6%を占めたことを明らかにした。
今年12月から2014年にかけて定めた製品ロードマップも披露された。例えば、2013年3月には、中堅企業向けERP(統合基幹業務システム)「PCA Dream21」の人事管理モジュールを追加。14年度に「PCA固定資産X」をリリースする予定だ。
興味深いデータとして、外部調査機関がまとめた企業好感度、ブランド好感度が紹介された。企業・ブランド認知者のなかで、PCAについて「非常に好き」「やや好き」と応えた割合が、それぞれ13.1%と23%で最も好感度が高かった。園田信彦・戦略企画部次長は、「好感度は向上しているが、認知度はまだ十分ではない。来期以降も広告宣伝活動に力を入れる」と語った。
メディカルビジネスのセッションでは、クリニック向け電子カルテシステム「PCA Hymarks Clinic」の詳細な機能強化ポイントが説明された。その一つが、iPad問診システム「BEAR-D」との連携だ。「Hymarks Clinic」に登録した患者のデータを「BEAR-D」に取り込み、患者ごとにiPad上で問診票を選択。入力した問診結果は「Hymarks Clinic」にデータ連携するので、問診票のスキャンやカルテへの転記作業が不要になる。

パソコンPOSアプリ「BCPOS」を展示したビジコムの渡辺剛氏クラウドAPIの提案事例を紹介
別会場では、「PCAクラウド」のスマートデバイスオプションのほか、パートナーの独自ソリューションが展示された。スマートデバイスオプションは、iPadとiPhoneで利用するもの。得意先の照会からメールや電話での連絡まで可能となっている。2013年1月から「App Store」で無償配信する予定だ。ダッシュボードの表示による「見える化」まではできないが、ニーズを見極めながら今後の対応を検討するという。
新潟県に本社を置くオフィスシステムは、「PCA 商魂X」と連携する「ハンディピッキング管理システム」を展示していた。ピッキングリストのQRコードと商品のバーコードのスキャン結果から、注文の取り違えがないかを判断。出荷ミスを防ぐことができる。正しいピッキング結果は、ハンディターミナル内に実績データとして蓄積する。そのデータは「商魂X」の売上伝票を自動作成できる。
美容サロン向けに特化して独自性が感じられたのが、岡山に本社を置くエクシードシステムだ。美容サロン向け業務システム「Salon Magic 21」を開発・販売している。日報をはじめ、担当別の売り上げや月次の集計などを一括管理できる。施術内容や顧客の誕生日などの「カルテ情報」を、画面で確認して顧客満足度アップにつなげる。東京営業所のサロンソリューション営業部の青山直樹氏は、「日々蓄積しているデータを経営分析に生かすことができる。顧客の属性に応じてメールでキャンペーンを告知し、顧客満足度を高める」と説明した。

「PCAクラウド」のスマートデバイスオプション。得意先の照会からメールや電話での連絡までできる ビジコムは、パソコンPOSアプリ「BCPOS」をアピール。営業部ソリューション営業の渡辺剛氏は、「スキャナで商品を読み取ると、その商品の過去12か月の在庫、販売、仕入れの状況を確認することができる」と説明。タッチパネルパソコンの「HP ap5000」を合わせて導入することで、メニュー画面に表示された衣料のイラストをタッチして販売できる。メニュー画面は、店舗の運用に合わせて自由に色を変更でき、450個のメニュー登録が可能だ。