ネットワールド(森田晶一社長)とBCN(奥田喜久男社長)は、「Hyper-VレプリカとLive Migration機能で実現するWindowsサーバシステム構築入門セミナー」を、大阪、名古屋、鹿児島、札幌、福岡の5都市で共同開催した。特別協賛としてシスコシステムズと日本マイクロソフトが協力したほか、鹿児島で南日本情報処理センター、札幌でつうけんアドバンスシステムズなど、地元の有力SIerも協賛。各地域のITベンダーなど参加者に対して、Windows Server 2012による柔軟性の高いサーバー仮想化システム、シスコシステムズのx86プラットフォームを訴えた。(取材・文/佐相彰彦)
クラウド時代のシステム構築 Windows Server 2012とUCSを連携

シスコシステムズ
河野真祐 氏 名古屋と大阪で開催したセミナーでは、シスコシステムズ ユニファイド・コンピューティング事業部の河野真祐氏が「クラウド時代の空模様とパートナーシップ」と題して基調講演を行った。河野氏は、「3年以内にクラウドサービスの導入を検討している企業が45.5%」と高い比率であることをアピールしたうえで、用途として「メール」をはじめ、「ストレージ」「モバイルデバイスへの対応」「データセンターでの利用」などと多岐にわたっていることを挙げた。加えて、「国内では、220万台のx86サーバーが導入されており、Windowsが73.3%を占める。そのうち、2010年の時点でサポートが切れているWindows Server 2003が45.5%ほど存在している」と説明し、参加者にビジネスチャンスが訪れていることを訴えた。また、「アプリケーションをオンプレミスとクラウドで使うことができる、時代に合ったシステムを構築することが必要」とも指摘している。
時代に合った最適なシステムを提供するために、シスコシステムズでは、コンピューティングとネットワーク、仮想化リソースを統合した「UCS」シリーズや、分散仮想スイッチ「Cisco Nexus 1000V」などを開発しており、それら製品の優位性をアピールしながら販売に力を注いでいる。このセミナーでは、売り手のネットワールドが実際に製品を検証したうえでシスコシステムズのハードとWindows Server 2012を組み合わせると、どのようなメリットが生まれるのかを説明した。SI技術本部データセンターソリューショングループシスコ認定システムエンジニアの加島義人氏は、「Windows Server 2012には、『重複排除』『シンプロビジョニング』など多くの機能が搭載されている。多彩な機能を有効的に活用するためには、サーバーなど物理的なハードにスケーラビリティが求められている。『Cisco UCS』ならば、カバーすることができる」と評価した。加えて、加島氏は「Cisco Nexus 1000V」についても、要求に応じてシステムリソースを自動的に割り当てる「動的プロビジョニング機能」などを説明することで導入するメリットを訴えた。
地元SIerが仮想化の可能性をアピール 新サーバーOSの入門講座も実施

ネットワールド
加島義人 氏 札幌会場では、地元のシステム開発会社であるアドバンスペイの勝野直義社長が登壇し、仮想化について「コンピュータの処理能力だけでなく、通信速度の向上や、ウェブアプリケーションの拡大などから、今や仮想化があたりまえになっている。はじめはハードの制限を解除するために利用していたが、最近はクラウド上で仮想環境を構築する動きが顕著だ」と指摘。そのうえで、アドバンスペイのユーザー企業のなかで、パブリッククラウドからプライベートクラウドに移行するために、仮想環境を自社内で構築するケースが増えていることを説明した。

ネットワールド
末森俊博 氏 ほかにも、鹿児島会場ではデロイトトーマツコンサルティングのTMTユニットシニアマネージャーの水上晃氏が、「ICT基盤が社会を変える~最新トピックと今後の予測~」と題して、IT業界の現状と将来の可能性を解説。福岡会場ではアイ・ティ・アールのシニア・アナリストの生熊清司氏がIT投資動向についての調査結果を紹介する基調講演も行った。

ネットワールド
石坂望 氏 さらに、ネットワールドでSI技術本部システムソリューショングループマイクロソフト担当システムエンジニアを務める末森俊博氏と石坂望氏の講演では、「Microsoft Windows Server 2012速習」と題して仮想化技術「Hyper-V 3.0」を解説。参加者に対して、入門講座として技術やシステム構築の方法をわかりやすく説明した。
仮想化やクラウドの時代が到来しつつあるなか、地方では技術者の不足などからユーザー企業に対して時代に即したシステムを提供できないSIerが出てきている。全国各地を回って、ネットワールドを中心にハードとソフトを組み合わせた最適なシステムを地元ベンダーが少しでも構築できるように訴えた今回のセミナーは、参加者にとって有意義なものになったといえるだろう。