イメーションでNAS製品の営業に携わる和田光穂さんは、寒い日も暑い日も、ほとんど一日中、外を歩き回り、客先への提案やニーズのヒアリングに励んでいる。今の時期は発熱素材のインナーを身につけて、冬の寒さに耐えている。数多くの企業を訪問して、ユーザー企業のニーズを懸命に吸収し、パートナーに有益な情報を提供する。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
心とモノの「整理」を意識的に
メーカーの営業マンとして、私が直接的に営業活動を行うのは、医療機関にソリューションを提供するシステムインテグレータ(SIer)がメインとなる。つまり、パートナーになっていただいているSIerの力を借りて自社製品を拡販する活動だ。とはいえ、SIerだけを訪問するわけではない。私は、むしろエンドユーザーに直に接する機会をなるべく多くもつように心がけている。例えば、機器を設置する場合にSIerの担当者に同行して、ユーザーを訪問したり、展示会で企業の関係者と会話を交わす。こうして、自ら動き、エンドユーザーとの接点をつくることによって、実際に当社の製品を使う人たちはどのような要望をもっているか、生の声として聞くことに努めている。
パートナーのSIerに向けての営業活動は、彼らがユーザー企業に対して行う提案活動に役立つ情報をいかにたくさん集めるかが重要なポイントになる。SIerは、自社のリソースだけではユーザーのニーズを細かく把握することが難しいので、提案するにあたって、ユーザーが抱える課題を十分に反映していないケースが多いと思う。だから、私は、SIerがもっていない情報を手に入れて、それを彼らと共有する。こうすることによって、SIerの提案活動をサポートし、「イメーションは頼りになる」という信頼感をもってもらえる存在でありたい。
私は、パートナーやユーザーの方々に「(任せて大丈夫という)安心感がある」とよくいわれる。心にゆとりをもっていることが、無意識のうちに相手に伝わるからだと自分では分析している。売上目標の設定にしても、スケジュールの組み方にしても、ぎりぎりのところに設定しないで、常に余裕をもって動けるようにしている。もし、提案から受注までの流れをうまく自分のペースに合わせることができない時は、せっかくの案件であってもあきらめることがある。外出や出張が多く、スケジュールをきちんと管理する必要があるからこそ、トラブルの発生を防ぐために、心にも時間にも余裕をもつことが大切だと思う。
ちなみに、モノに関しても、心と同じように「整理」することを重視している。夕方、営業を終えて帰社したら、カバンに入っているモノをすべて出して、空っぽにする。翌日、営業に出かけるときに、パンフレットなど、最低限必要なものだけをカバンに入れて、その日に必要ないモノはいっさい持っていかない。整理はもともと苦手なので、頑張って意識的にやっている。
イメーションは、お客様からみれば、記憶媒体メーカーというイメージがまだ強いだろう。しかし、当社は現在、メディアだけではなく、NASを中核とするソリューションの展開に力を入れている。そんななかで、SIer向け営業を務める私が果たす役割は、ますます重要になってくると思っている。パートナーのSIerとはさらに密に連携して案件を獲得し、「一緒にやってよかった」といわれるようにしたいと願っている。
●日常使う営業ツール.......... 一日あたり最低でも3社を営業先として訪問する和田さん。出張も多く、ほとんど会社にいないので、iPhoneを使って移動中にメールをチェックする。また、名刺のデジタル管理にも、iPhoneを活用。内蔵カメラで名刺を撮影し、端末に保存することで、荷物の数や重量を減らしている。フットワークだけではなく、持ち歩くカバンも軽くしているのだ。
●上司からのひと言.......... 「和田君には、新規顧客の開拓という、営業としては一番ハードルが高い仕事を担当してもらっている。どこでどのようにしてお客様を見つけてくるのか、いつも驚き、感心させられる。何といっても、相手に安心感を与える笑顔がいい。私が新規のお客様を紹介されて、挨拶にうかがう時には、すでに何年も取引しているような信頼関係ができあがっている。部下としては、誠に頼もしく、ありがたい存在だ」(コマーシャル製品事業本部 高橋秀明取締役本部長)