シルクロードテクノロジー(石橋愼一郎社長CEO)は、クラウドベースのソーシャルラーニングマネジメントシステム「SilkRoad GreenLight」を日本市場に投入した。eラーニングや研修、OJTなどを通じた社員の育成状況を把握して、成長に合わせたコンテンツを計画的に提供する。SNS(ソーシャル・ネットワーキングサービス)機能を実装しているのが大きな特徴だ。ただ、SNSへの取り組みについては、「ミレニアル(Millennial)世代」の受け止め方次第で、ITベンダーの間で見解が分かれているテーマでもある。
シルクロードテクノロジーの「SilkRoad GreenLight」は、指導者から受講者に向けた一方的なトレーニングと異なり、受講者の間で積極的な情報交換、知識の共有などができる環境を提供するソーシャルラーニングマネジメントシステムだ。大きな特徴であるSNS機能に注目したい。
特定のフォーラム内での受講者同士のチャットや講師とのQ&Aのやりとりのスレッドを文字情報として残すほか、拠点をまたいでのグループ学習などができる。ソーシャル機能を利用すれば、研修に参加できない社員が研修の様子を音声や動画で確認したり、当日のチャット内容やQ&Aをいち早く文字情報で確認したりすることができる。
受講者は、個別のポータルから研修日程やその内容、場所を確認する。過去のトレーニング履歴やテスト結果をたどることもできる。WordやPowerPoint、PDF、音声、ビデオなど、さまざまな形式のファイルのインポートに対応しているので、研修プログラムの作成に役立つ。
評価管理システムである「SilkRoad WingSpan」との連携で、スキル/コンピテンシーアセスメントの結果から策定した研修計画を実行。「GreenLight」で受講した研修受講講座を「WingSpan」に反映して、人材の計画的・継続的な育成を支援する。
ユーザーであり、パートナー企業としても「WingSpan」と「GreenLight」を販売するオージス総研の営業本部営業企画部企画第二チームの鈴木美羽氏は、「経営トップ層だけをサポートするのではなく、ミドル層を底上げするというシルクロードのコンセプトに共感した」と話す。オージス総研は、海外事業の強化にあたって、中国、フィリピン、シンガポール、ブラジルにサービス提供拠点を設けている。ユーザーとして、国境を越えてクラウド環境で議論できる「GreenLight」に大きな魅力を感じたという。販売目標は3年間で5万ユーザー、年間3億円だ。
成功を左右するカギは、企業へのSNSの浸透度合いである。近年は、「GreenLight」のようにSNS機能を組み込んだ法人向けサービスが続々と登場しているが、販売に積極的なベンダーばかりではない。日本市場については、国内ITベンダーを中心に慎重な見方が少なくない。ソーシャルの価値が日本企業に受け入れられるのか、という疑念である。
これに対して、米シルクロードテクノロジーのウィリアム・エド・ヴァセリー上級副社長グローバルマーケティングは、「日本では、新しい価値観をもつ若手の人材が育ってきている。また、日本のリーダーは海外展開に力を入れており、状況はとても早く変わってきている」と強調する。
欧米や日本で1980年代半ばから2000年代初頭にかけて生まれたミレニアル世代は、FacebookやTwitterなどのSNSに慣れ親しんでおり、普段からスマートデバイスを使いこなしている。そのため、変化の兆しはあるといえる。もっとも、若手の声が企業の経営方針にすぐに反映されるかどうかは別の話だともいえる。(信澤健太)

「SilkRoad GreenLight」のポータル画面。「ユーザインターフェースに力を入れている。マニュアルはいっさい必要ない」(小野りちこ副社長)という