高師光太郎さんは、ネットワーク構築を手がけるネットマークスで金融機関向けの営業を担当。そのかたわら、背番号3で日本ユニシスのアメリカンフットボール部「BULLS」でタイトエンドのポジションを務めている。「とりあえず案件を獲得して、そのうえで収益を上げるための次の提案を考える」というスタンスで、通信機器のリプレースやネットワークの大規模改修といった注文を相次いでものにしている。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
スピード重視で注文を獲得
大学への入学も、前職の住宅メーカーへの就職も、アメフトの先輩の推薦で決まった。だから、僕には就職活動の経験がなかった。そんなわけで、ネットマークスは僕にとって初めての就職面接となった。アメフトと住宅メーカーでの営業で鍛えられていることを自分の強みとして、「体力に自信をもっている」ことと「どんなに厳しい状況に置かれてもめげない」ことを一生懸命にアピールした。面接官に僕の熱意が伝わり、採用してもらった。
ネットマークスに入社して早々、前職の経験を生かして、大手顧客を新規で獲得することができた。全国に数多くの拠点をもっている某銀行だ。
住宅メーカーでは、毎晩7~9時に売り込みの電話をかける手法をとっていた。この電話営業で、お客様からどれだけ罵声を浴びせられたことか……。つらい経験ではあったが、電話でうまく話して短い時間で先方の心をつかむスキルを身につけられたのはこのおかげだ。
ネットマークスでは、ちょうど僕が入社した頃に、これまでアプローチできなかった金融機関を再度攻めようという動きが始まった。上司にターゲットリストを渡され、片っ端から電話をかけて「一度、挨拶させてください」とお願いを繰り返した。
電話での売り込みを得意としていることが力を発揮し、これまで挨拶さえも受けつけてくれなかったある大手銀行にアポイントメントが取れた。訪問を機に、ネットワークの保守を当社に移管することを提案したうえで見積もりを出し、その銀行に通い詰めるようになった。結果からいえば、保守移管だけではなく、本社移転に伴うネットワーク構築やデータセンターでのバックアップ構築も次々と受注した。ずっと門前払いだった銀行に深く入り込み、現在も大規模な取引をしていただいている。
僕が営業活動で重視するのはスピードだ。初めての訪問でも「見積もりを出させてください」と切り出して、お客様とのパイプづくりを迅速に進める。アメフトだけでなく、ビジネスもスピードが勝負だからだ。もう一つ、心がけることがある。提案する際に「自分の会社に利益があるか」を先に考えるのではなく、収益率が低いとしても、とりあえず案件を獲ってお客様とパイプをつなぐことだ。そこからビジネスを広げて、最終的に利益を確保する方向にもっていく。ウィン・ウィンの関係を築くわけだ。
お客様と深い信頼関係を構築するために、面と向かった商談はもちろん重要だと思う。しかし、それだけではなく、会食や飲み会、喫煙所での雑談といったインフォーマルな場で仕事以外の話を交わすことも欠かせないと考えている。お客様とゴルフのつき合いをさせていただいている。でも、アメフトに慣れているからか、ゴルフの細かなテクニックが苦手で、なかなか上達しないのが目下の悩みだ。
●日常使う営業ツール.......... プレゼンテーションに活用するiPad。ネットマークスは、2012年にVDI(仮想デスクトップ)システムを自社に導入し、営業職を中心に100台のiPadを社員に配布している。高師さんは「鞄が軽くなっただけでなく、話題性の高いiPadをお客様に見せたら話が弾む」と、このツールを有効に活用して提案を進める。
●上司からのひと言.......... 「高師君は入社以来、ともに仕事に奮闘してきた仲間だ。当初は、前職との環境の違いに戸惑っていたようだが、高い適応力ですぐに慣れた。持ち前の行動力を生かして新たなビジネスを獲得するなど、新人とは思えないほどの活躍ぶりをみせてくれる。仕事はもちろん、趣味にも全力投球するメリハリがきいた彼のスタイルは、周りの仲間によい影響を与えている。次世代のリーダーとして、これからもチームをけん引していってもらいたいと思う」(第二営業部の山口将史部長)