【北京発】中国の大手調査会社であるCCID Consultingは、2月26日、中国IT市場の現状と今後のトレンドを紹介する「2013中国IT市場年会」を、北京市内のホテルで開催した。政府関係者や経済学者、IT企業の幹部などが講師を務め、経済発展とともにIT需要が高まっている中国市場の有望性を解説した。キーワードは「四化」──都市化、工業化、農業近代化、そして、それらを支援する情報化だ。政府がこの「四化」を急ピッチで推進している状況下で、中国では今、社会問題を解決するためのITソリューションが求められている。(取材・文/ゼンフ ミシャ)

2013年のミッションは「“四化”同歩発展」
北京の「シャングリ・ラ」ホテルの会場には数百人のIT関係者が集まり、登壇者の話に熱心に耳を傾けた。
冒頭で、中国IT産業発展研究院の羅文院長が祝辞を述べた。「2013年は、中国の安定した経済成長を図るうえでの重要な年だ。政府は、とくに都市生活のクオリティを向上させることを重視しており、そのためにITを積極的に活用する。『四化』の同時発展を進め、中国IT産業の成長につなげたい」と、方針を示した。
スマートシティに商機
続いて、前全国人大副委員長で、現在は経済学者として活動する成思危氏が講演を行った。同氏は、政府が都市化や都市生活の改善に力を注ぐ動きに注目して、ITを活用して都市インフラを“賢く”する「スマートシティ」の需要が旺盛であることを説明した。交通整理や治安の確保、社会サービスの強化など、各市政府が抱えるあらゆる課題を解決するために、IT活用への期待を示した。
成氏は、「市民に関する情報をデータベース化し、統合的に管理することができる仕組みをつくれば、高齢者の孤独死を未然に防ぐことができる」と具体例を挙げた。
「『四化』の発展には融合的に取り組まなければならない」。中国IT産業発展研究院の副総工程師を務める李峻氏は、それぞれの発展を個別にではなく、うまく絡み合うかたちで進める重要性を強調した。プラットフォームの統合やモバイルインフラの整備、クラウドコンピューティングの普及といった大きなITトレンドを語り、中国で国内外のITベンダーにとってビジネスチャンスがあることを訴求した。

(写真左から)中国IT産業発展研究院 羅文院長、前全国人大副委員長 成思危氏、中国IT産業発展研究院 李峻・副総工程師
パネルディスカッションで議論
このほか、SAPなど中国で事業展開している大手外資系ベンダーや地場の有力インテグレータの関係者がビジネスの直近の取り組みを述べた。
どのように「四化」を融合させ、同時発展を実現することができるか──。最後のパネルディスカッションでは、急成長のなかにあってIT活用に積極的な南京市の関係者や、「スマートシティ」ソリューションの展開に注力しているIBM中国の幹部などが参加して、現状の課題とその解決案を論じた。

展示ブースで中国IT市場のトレンドを紹介する